∴ 02

深夜だっつーのにちょくちょく人来るなー。

深夜なのにいつもより忙しいことに疑問を持ちながらレジを打っていると、今日が金曜日だってことに気づいた。あーなるほど、飲み直しか介抱か…。
だから酒と水とちょっとしたつまみが売れるんだなー。あーおれも飲み会行きたかったし。酒飲みてーよ。

あの大学生かわかんねえチャラチャラした男、由梨奈ちゃんがレジ入った瞬間並びやがった。わかりやすいんだっつーの。
男の短絡的な思考回路に呆れながらも、まあおれも客だったらそうするかーという結論におちいる。大体可愛い子に並ぶのはふつうだろ。うん。
こりゃおれ商品補充とか裏方やった方がいいんかな。でも女の子ひとりだと危ないしな。
まあ店内出るくらいならいいかな。

「由梨奈ちゃん、ちょっとおれ店内見てくるわー」
「あ、はい」

喜べ男ども。



商品補充をしながら、店内を見回っていると、漫画の立ち読みをしている男がいた。スーツ姿だし、飲み会帰りかな。後ろを通り過ぎて一通り適当に見る。
カウンターに戻ると、暇になったのかぼーっと由梨奈ちゃんが時計を見てた。

「由梨奈ちゃん」
「んー?」
「もうおれ一人で大丈夫だわー。ありがと、ちょっと早いけど上がっていいと思うよ」
「え、まじですか?」
「うん」

だってもう日付変わったしね。大丈夫でしょう。
裏に店長もいるみたいだし。

「店長バックヤードにいたよ」
「はーい。ありがとう瞬(しゅん)さん」
「おー」

にこりと笑顔でお疲れ様でしたと言ってバックに引っ込む由梨奈ちゃん。一人になったカウンターですることもないから自分の手相をずっと見つめていると、目の前にすっと誰かが立った。
気配に反応してすぐ俯いていた顔を上げて挨拶をする。

「い、いらっしゃいませー」
「これ頼む」

おおイケメン。この人さっき漫画立ち読みしてた人かー。
コンビニ弁当とか飲み物とか、一人暮らしで自炊しない人なんか。うわお酒大量購入。つまみもいっぱい。金曜だから一人晩酌?いいなあ社会人は。

ぴっぴっとバーコードを読み込んで値段を読み上げる。
お釣りが出たからレシートと一緒に渡す。

「ありがとうございましたー」

最後にその言葉で締めくくる。

「ありがと」

イケメンもにこりと爽やかな笑顔でそう言ってくれた。
お客さんにお礼言われるとテンション上がるなあー。
あと4時間くらいで終わるし、頑張って行こう。


( prev : top : next )

×
「#ファンタジー」のBL小説を読む
BL小説 BLove
- ナノ -