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がたがたと震える体でミツミさんの帰りを待つ。掃除をしようなんて考え、恐怖でどこかに行ってしまった。

しばらくして帰宅したミツミさんは、僕とは反対に少し上機嫌な様子だった。
だけど部屋の隅で立ち尽くしている僕を見つけて、眉を寄せる。

「たーだいまっ。……リオ、どうした?」
「え、や、ちょっと寒くて…」
「…まあ、もうすぐ冬だしな」

――――冬。
セシル様のお誕生日は、12月21日。今日は、11月28日…。
もう1ヶ月もない、ミツミさんはいつか帰ってしまう。そんなときにさっきセシル様に言われたあの言葉。
『飼ってやる』―――本気だった。

一人さっきのことを思い出し顔を青くしていると、いつの間にかベッドに腰をかけたミツミさんが、ぽすぽすと自分の隣を叩く。有無を言わせない様子だったから、僕も何も言わずに横に座る。

「やっぱなんかあっただろ」
「……いえ、」
「そんな真っ青な顔して隠せてると思ってんの?……あの王子のどっちかか?」
「…」
「カイルは公務中だったから…セシルか」

びくり、と肩が震えてしまった。しまった、失敗してしまった。
「いいよ、話してみな」

やさしく言われると、それだけで抵抗できなくなる。
ぽつぽつと先ほど起こったことを話す、ミツミさんは黙って僕の話を聞いてくれた。



「なるほどねー」

僕の話を聞き終わったミツミさんの反応はそれだけだった。

「まあ1ヶ月は何もされないことが分かったな」
「…え?」
「だって王位継承の日、1ヶ月くらい先だろ?それまでセシルは何もしてこないよ。問題はカイルだなあ」

どんな反応をされるかなと思っていたら一言だけでちょっと拍子抜けした。うぬぼれだった。けれどそのあとに続く言葉に、真剣に考えてくれてるんだなあとやっぱり安心した。
ミツミさんは僕の味方だ。とてもやさしくて素敵なひと。


僕はこの人のことを一生忘れない。そう思った。


「ちょっと急ぐかー。いろいろ」
「?」
「ううん。幸せになる方法を考えてた」


幸せになる方法。
僕もミツミさんが早く元の世界に帰れるように、精一杯お手伝いしよう。


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