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「……ヒト、見つけたぞ………」
「………やぁ、ニカ」

あれから空き教室に隠れていたら、息を切らしたニカに見つかった。急いでニカのいる扉とは逆から出ようとしたら、先回りされて鍵を閉められた。二人きり。
とりあえず無難に挨拶から始めたら、血管がぴく、ぴくってしてた。ごめんなさい。

「パーシーとジョーは?」
「教室」
「じゃあもどろーぜー」
「…ヒト」
「……はい」

とりあえずこの状況はやばい。
二人きりだし、今ちょっと心臓がどきどきしてる。ニカが怖すぎるのもあるけど。
一緒にいたときはあんま意識してなかったけど、ニカってイケメンだったんだな。これは他校の女子からもてるはずだよ…。

「…なんで最近避けてんだよ」
「……さ、避けてなんか…」
「避けてんだろ」

断言するように言われたら、なにも言えない。
押し黙ると、ニカがだんだん近づいてきた。触れようと手を伸ばしてきたのを、とっさに振り払う。パシっと乾いた音がした。

「……あ…」
「………」

嫌な沈黙が間に落ちる。

「すまんニカ!!!」

固まっている二カの横をすり抜けて、そのまま教室を飛び出した。
はやくパーシーとジョーのとこに戻ろう。まだ無理だ、体が拒否反応を起こしてる。
振り払ったとき、ニカ、傷ついてた。
早く元に戻ろう。これはまずい。もう友達にも戻れないかもしれない、嫌われたかもしれない。
振り払った指先が、じんじんとしびれるような熱を持っていた。

「ヒトォ!!!!!」
「――――っ!!」

いきなし廊下の後ろからおれを呼ぶ声がする。間違いない、ニカだ。
振り向くと、猛ダッシュでおれめがけてダッシュしてる。正直怖い。

「逃げんなボケ!!!!!」
「無理!!!!」

廊下を真っ直ぐ行ったところに教室があるのに、おれの足は勝手に下に降りて行った。
ますます遠ざかる教室に対し、ますます近づくニカとの距離。
そういやニカ、むっちゃ足早いんだった……!
まずい、これはまずい。せめて教室に戻ろうとまた上を目指し階段を上る。ダッシュで登るのむっちゃきつい。
はあはあ息切れしながらもやっと教室が見えて気が抜けたおれを、いつの間にかすぐ後ろにいたニカが捕まえた。


「…はあ、はあ、…っなに逃げてんだ、お前…」
「……はあ、はあ、はあっ…」

廊下の真ん中で息切れするおれたちの周りに、いつの間にかギャラリーが囲んでいた。
抱きしめられてることに気づいて、慌てて離れようと抵抗するけど、さらに強い力で抱きしめられた。

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