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パーシーに彼女がいることが発覚してからしばらく経ったとき。
ニカの首元に、バンソーコーが貼ってあった。

「なにニカ、首怪我したの?」
「あ?」
「バンソーコー貼ってあるじゃん」
「あー…」

そういうと、言いにくそうに言葉を濁してバンソーコーを手で押さえた。
そりゃおれだって、青少年だもの。それだけでわかるよ、それが怪我じゃないってこと。
それに気づいたとき、ちくんと胸が痛んだ。
最初は針が刺さったみたいだったのに、だんだんずきずきと痛みが広がっていく。

「ニカ、彼女いたん?」
「ワンナイトラブだわ」
「うわ最低」

とどめのように、強い一撃が心臓に来た。

「……ヒト?」

ちなみにおれのことをトミーなんて呼ぶの、パーシーしかいない。逆もまたしかり。
そんなことを考えながら、おれを呼んだジョーに両手両足でがしっと抱きついた。

「……ジョー…」
「……なんだ」

最初は凶悪ヅラすぎて怖かったけど、ほんとはお前が優しいやつだっておれは知ってるよ。
なにも言わず強い力で抱きついたら、ぽんぽんと頭を撫でてくれた。
ほら、いいやつだよ、ほんとに。

――――おれは、ニカがすきなんだ。


だけど男同士なんて救いがなさすぎる。ホモなのか、おれは。いや違う、ニカが好きなだけ。その前はふつーに女の子と付き合ってたしえっちも済ませた。
ばれたら絶対軽蔑されるに決まってる、パーシーにも、ジョーにも、…ニカにも。
おれはこの気持ちを忘れようと決めた。




だけどおれだってまだ16歳の男の子。そう簡単に気持ちを忘れることなんてできないから、とりあえず距離を置こうと思った。
適当に誰かと付き合って忘れようと思ったけど、そんなの相手の子に失礼だから。
おれの問題に巻き込んじゃいけないし。

最初は、ニカと二人きりになるのを避けた。
ジョーとパーシーが二人で喋ってる時、さりげなくトイレに行ったりとか、逆に二人っきりにさせないようにしたりとか。

だけどやっぱり不自然すぎたみたいで。
―――だから今、追いかけられているまっただ中だったりする。


「うわあニカ怒ってるよーやべえよー」

パーシーにヘルプコールをしても全くでない。なんでだよー!大ピンチだよおれは今!!
とりあえずお昼は食べれないかもしれない。






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