∴ 2/5 パーシーに彼女がいることが発覚してからしばらく経ったとき。 ニカの首元に、バンソーコーが貼ってあった。 「なにニカ、首怪我したの?」 「あ?」 「バンソーコー貼ってあるじゃん」 「あー…」 そういうと、言いにくそうに言葉を濁してバンソーコーを手で押さえた。 そりゃおれだって、青少年だもの。それだけでわかるよ、それが怪我じゃないってこと。 それに気づいたとき、ちくんと胸が痛んだ。 最初は針が刺さったみたいだったのに、だんだんずきずきと痛みが広がっていく。 「ニカ、彼女いたん?」 「ワンナイトラブだわ」 「うわ最低」 とどめのように、強い一撃が心臓に来た。 「……ヒト?」 ちなみにおれのことをトミーなんて呼ぶの、パーシーしかいない。逆もまたしかり。 そんなことを考えながら、おれを呼んだジョーに両手両足でがしっと抱きついた。 「……ジョー…」 「……なんだ」 最初は凶悪ヅラすぎて怖かったけど、ほんとはお前が優しいやつだっておれは知ってるよ。 なにも言わず強い力で抱きついたら、ぽんぽんと頭を撫でてくれた。 ほら、いいやつだよ、ほんとに。 ――――おれは、ニカがすきなんだ。 だけど男同士なんて救いがなさすぎる。ホモなのか、おれは。いや違う、ニカが好きなだけ。その前はふつーに女の子と付き合ってたしえっちも済ませた。 ばれたら絶対軽蔑されるに決まってる、パーシーにも、ジョーにも、…ニカにも。 おれはこの気持ちを忘れようと決めた。 だけどおれだってまだ16歳の男の子。そう簡単に気持ちを忘れることなんてできないから、とりあえず距離を置こうと思った。 適当に誰かと付き合って忘れようと思ったけど、そんなの相手の子に失礼だから。 おれの問題に巻き込んじゃいけないし。 最初は、ニカと二人きりになるのを避けた。 ジョーとパーシーが二人で喋ってる時、さりげなくトイレに行ったりとか、逆に二人っきりにさせないようにしたりとか。 だけどやっぱり不自然すぎたみたいで。 ―――だから今、追いかけられているまっただ中だったりする。 「うわあニカ怒ってるよーやべえよー」 パーシーにヘルプコールをしても全くでない。なんでだよー!大ピンチだよおれは今!! とりあえずお昼は食べれないかもしれない。 |