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そしてなぜか僕は、そんな彼の親友に認定されてる。
親友が親衛隊長って、なかなかないかもなー。と最初は新鮮な気持ちだったけど、こうも毎日変わり映えしないと、それは飽きるよ。
最初はいちいちリアクション取ってたりしたけど、今ではもうめんどくさくてなあなあ。

「おいっ!」
「いたいよ、はなして…」
「嘘つくなよ!そうやって嘘ついて周りを心配させようとして、ほんとお前はだめだなっ!」

手形できてんだけど。
思いきり掴まれた手首に抵抗するけど、意味の分からない王道持論でかわされる。
腹が立ったから、思いっきり足をローファーのかかとで踏んでやった。それはもちろん知らんぷり。痛がってたけど、そしらぬ顔でその場を後にした。


「あーどっかに面白いネタ落ちてないかなー」

親衛隊員たちの恋バナの方が、よっぽど面白くてネタになる。
それをネタにして最近公開した話は拍手でも好評みたいで嬉しい。

「今の時代は何を求めてるんだー」

もう僕は、今の学園に完全に飽きていた。



世の中の腐男子みたいに、はあはあ荒い息を上げたり、BL用語を叫んだり、そんな軽率な行動はとらない。
僕は絶対に腐男子受けとかいう二の舞にはならないと、入学当初に意気込んだんだ。

だから会長とのキスを見たときも、内心はきたーーー!と思ったけど、親衛隊長としての反応をしたし。
次々とコンプされてく美形たちの独占欲とかも、まあ最初はおいしいと思って見てたよ。けど、もー飽きた。
僕って、三次元にはあんまり萌えないみたい。

そうしたら、覚めるのも冷めるのも早かった。
結果、僕はまた二次元萌えに戻るのだった。



学年主席だから、特権として一人部屋に住んでいる僕。
王道と同室だったらと思うとぞっとする。しかしなんで王道は同室の子を連れまわしたりせずに、僕に目をつけたんだろーか。まああの脇役くん、君のおこぼれをもらう気満々だから、野生の勘で避けたんだろうか。まあいいや。


「はー、やっぱり僕は二次元に限るな」


そうして、僕は王道が呼ぶのも無視して、食事も自室で済ませて、残りの時間はひたすら小説めぐり。

時間もあいたことだし、ネタもいろいろできたし。
久しぶりにサイトを開いてみると。


「…なにこれ」


拍手や掲示板が、たくさんの同じコメントで埋まっている。
尋常じゃないほどの量だった。

「あの続きは?」「もう書かないのですか」
「教えてください」
「返事ください」
「どうしたんですか」
「怖がらないで」
「なにが不満なんですか???」


―――アク禁に、まとめてぶち込んだ。


―――…そうして元凶となったあの王道小説は削除し、僕は更新停止していたことを詫びて、また更新を再開した。
あの小説が消えたことを惜しむ人はいたけど、もうあんなコメントは来なかった。
これで平和になった、僕は安心した。

運よく王道に会うこともなく、親衛隊のみんなと一緒にいたり、一人でいたりと、実に有意義な時間を過ごした。
あんなにくっついていた彼らが離れたのを、軽視していたのがだめだったなと、今なら思う。


そうして晴れ晴れとした気分で、金曜日を無事に迎えた。
明日は土曜日だし、久しぶりに中学校の地元の友達に会おうか、と計画していると、どんどんと大きく鳴る扉。

「…なに…?」

でも鍵がかかってるし、あくことはない。

なのに。


―――――ガチャ。


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