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「おーっす。…あれチロどした、風邪ひいたか?」
「はよ。ほんとだ、目潤んでるし顔赤いじゃん」
そこで遅刻ギリギリに来た井上と町田が、来てすぐにチロが風邪だということを見抜く。
「で、でも、今日行ったら明日休みだし…」
「今は微熱だからいいけど、悪化しちゃったらどうするの!あとちょっとでテストだよチロちゃん!」
「う、うう…。でも、今日は英語とかあるし…」
「任せろ、俺と臨(のぞむ)で授業中断させまくるから!」
「チロ、俺らの授業妨害っぷり知ってるだろ?」
「おい得意がるなよ」
「僕も英語嫌いだからこれみよがしに質問しまくる!多分これで時間はだいぶ潰れるよ!」
妙に自信たっぷりに自慢できないことを得意がる井上と町田、それにつっこむ副委員長の外山、そして自分が英語馬鹿(この場合できない方の馬鹿)であることを誇らしげに言う架月。
そしてクラスメイトたちも次々と作戦をたて、いかに英語の授業をつぶすかについて話す。
「いやお前らがちゃんとノートとってそれをコピーしたのをチロに渡せばいいじゃねえか」
「……ほーう、いい度胸してんなァ?」
一斉に振り向くSクラスの生徒たち。
そこには、前のドアから呆れ顔の黒崎と、青筋をたてた英語教師の永知(えいち)が覗いていた。
「HRはもう始まってるぜー」
「言い始めた奴は誰だー?」
盛り上がりすぎて聞こえなかったと時計を見て青ざめる。
「チロ以外だろ」
黒崎の言葉に永知もうなずく。
「はい正直に言えよー?」
「井上です」
「町田です」
「「「二人ともです」」」
交互に指をさす井上と町田に、残りの生徒が総つっこみをする。
「じゃあ今日は復習をやるから、井上と町田、あと雛沢に全部当ててやるな?」
「なんで僕もっ!?」
「英語嫌いなんだろ?」
さ、最初から聞いてやがる…。指された3人はがっくしとうなだれた。
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