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朝起きた時から、少し体がだるかった。

折笠千紘はいつもと違う自分の様子に戸惑っていた。
寝起きで働かないのか、それとも別の理由でか、頭がぼーっとする。くしゅっ、とくしゃみが出たところで、これは風邪を引いたなあと思った。
昨日髪の毛乾かしてないのに寝ちゃったからかなあ……?と体調が悪いことを自覚してからはさらにだるくなった体に、今日は休もうと思ったけれど、今日は進むのが早い英語の授業があるし、そういえばあの問題当てられてたし、今日を乗り切れば明日から三連休だし、それに…。

考えても仕方ないので、今日は無理してでも行こうとベッドから這い出た。

のろのろと制服のボタンをかけ、普段の倍の時間がかかりながらなんとか着ることができると、今日は朝の鍵当番じゃなくてよかった、と思いながら、校内にあるコンビニで高校男児が食べるには少なすぎる量の食べ物を買うと、教室に向かった。

口ぐちにおはようとあいさつされるのに、なかば反射的に返しながら席に着く。
もそもそと小さい口にパンをほおばる様子にクラスメイトたちは(小動物…!!!)と動物愛護心を育みながらも、いつもと少し違うチロの様子に首をかしげる。

…そういえばセンセのこと起こしに行ってないなあと思ったけど、昨日センセの小学生並みのいたずらにすねて怒っていたことを思い出し、今日はいいや!とそのまま食べ続けていた。

「おはよー、チロちゃん」
「…ぉはよー、ひいちゃん」

ぎゅう、と後ろから抱きつかれてびくりとしながらあいさつを返す。
それに可愛く小首を傾げながら、「チロちゃん今日おめめうるうるだね」と言った。
内心ぎくりとしながらチロは「生まれつきだよ」と意味不明な言い訳をすると、それに架月はますます疑問を抱き、自分の手を無防備なチロのおでこにあてた。

「んー、ちょっと熱あるよ、チロちゃん」
「な、ないよっ」
「あるったらあるの!チロちゃんだってわかってるんでしょ!」

もう、とぷりぷり怒る架月に強がってチロもぷるぷると否定する。
二大小動物の戯れにクラスメイトが癒されながらも、「そういえばオレもチロいつもと違うと思ってたー」「俺も」と口ぐちにチロの不調を訴える。



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