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「センセどうしたのー?」
「……かれぇ」

どちらかと言えば辛いものが好きな黒崎をも黙らせる架月特製のハバネロシューの威力に、食べなくてよかったラッキーな生徒たちは自分たちの無事を感謝した。

「まだお水飲む?お菓子で口直しとか…」
「……いや、こっちでいいわ」

え?と千紘が聞き返す前に黒崎はすっと右手を千紘の顎の下に置くと、最初から舌を絡めた深いキスを千紘に仕掛けた。

「んっ!?ふ、ぁ…!」

真っ赤になる生徒たち。
(これがくろやんのキスか…)
(うわあ、えげつねえ本気のキスじゃねえか…)
(チロ顔真っ赤じゃん…)
外山、井上、町田が少し頬を赤く染めて小声でぼそぼそとしゃべる。
小動物だとからかっていた千紘のびっくりするほどの色気を直視しないように目をそむけながら、早く終わることを願った。

「…ぷぁっ…!!」
「あー、甘い。口直し出来たわ、サンキューチロ」

千紘が先ほど食べていたシュークリームの甘みを全部なめとると、ごちそうさまでした、とぺろりと唾液でぬれた唇を舐める。
それに真っ赤になりながら千紘が半泣きになる。

「ふ、ふえぇえ…っ!!み、みんなの前でなんでやるのー…っ」
「人前じゃなかったらよかったのか?」
「ち、違うぅ…っ!それに今度は僕に味が移ったぁ…」

辛いよう、と根っからの甘党なチロは、口の中に広がるハバネロの不快感にますます顔をゆがめる。
それに妙な嫉妬心を感じた黒崎は、テーブルの上に広がっていたチョコレートを口に含むと、そのままもう一度千紘に口づけた。

「ふぁ、ん、ぅ…」
「…ちゅ、」
「んぁ……」

今度こそ本気泣きした千紘は、ぱちん、と渾身の力を込めて黒崎の頬を叩くと、ぱたぱたと小さい足音で食堂を出て行った。

「くろやん大丈夫?」

かっこわらい、と付く様な全く心配しているそぶりがない口ぶりで聞く架月に、黒崎はにやりと笑い、

「猫パンチ並。可愛いすぎ」

そう言って楽しそうに追いかけて行った。


「な?くろやんの前でチロのこと可愛いとか言ったらぶっ潰されるって言った意味分かっただろ?」
「もー、本気も本気だから、くろやんの場合。卒業したら同棲でもすんじゃねえの?」
「言えてるー」
「あ、井上誕生日おめでと」
「今更かよ」

残されたメンバーは、残りの時間を楽しく過ごした。

「チロー」
「センセのばか!」


end


見た目通り、チロは甘党です。


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