おそろいですね。



真白は、ぶかぶかのセーターが好きだった。
冬になると自分の体よりも少し大きめなセーターをいつも着て、ぱたぱたと動き回っている。
その様子と、袖からちょこんと見える指先がマニアの心をくすぐっていた。
もちろん響汰も例外ではない。

(かわいすぎるだろ…!!!)

声に出せない叫びは、真白をわけもなく呼び出すことで発散していた。



今日の真白のセーターの色は、茶色だった。
基本的にこの学園は上に羽織るものは校則ではとくに定められていないので、みんな自由だ。
パーカーを着たり、ジャージを着たりと皆それぞれ個性が出ている。
真白はユニクロで売っているカーデを羽織ったり、アーガイル柄のセーターを着込んだりとさまざまだ。

(今日も会長、僕と同じ色のセーターだ…)

デザインは違うにしろ、会長といつもおそろいの色のセーターを着ていることに、真白は少し前から気づいていた。
それを親友で副会長親衛隊長をしている来栖(くるす)に言うと、160センチの小さな体でどーんと抱きつかれて、楽しそうに耳元で笑われた。

「会長って童貞じゃないのに、乙女だねぇ」
「ど、っ!?」
「ふふふー。じゃあ真白、明日は僕のもこもこうさぎ耳のピンク色の上着貸してあげるねぇー」
「え?なんで?」
「いいのいいのー」

にこにこと可愛い顔で笑うから、真白はどうしたんだろうと思いつつ何も言わないでおいた。
次の日、来栖から借りたうさ耳つきのピンクのパーカーを羽織っていると、いつもよりいろいろな人から視線を感じる。
親衛隊長になるときにお世話になった先輩からは見るなり真白に飛びついた。

「ふ、ふゃああ…!!」
「可愛い!真白くんそれやばい!誰の入れ知恵!?」
「え?え?」
「はぁい、ボクだよー」
「来栖くんか!やっぱり君は小悪魔だな!」
「うふふー。会長はー?」
「いつものように急いで自室に駆け込んだよ。でも会長ピンクのカーデはさすがに想定外だったと思うから、持ってないと思うよ」

にたにたと真白を見た瞬間ダッシュで引き返した響汰を思い、小悪魔二人が笑う。

「?」


真冬の寒い時期に、Yシャツのボタンを3個ほど開け、中からピンクのTシャツを見せ震えている響汰の姿がその日目撃された。


end

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