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僕が敬意を払い、お守りする対象の人は、どうやら僕のことが嫌いらしい。
と言うと語弊があるかもしれないけれど、正確に言えば、その人、椿響汰(つばき・きょうた)会長は親衛隊という存在がお嫌いらしい。そして僕、霞真白(かすみ・ましろ)はその隊の親衛隊長といういわばそこの隊のトップというものだから、一段と嫌われているのを感じる。
今だって、親衛隊のみんなと少しお話をしているだけなのに、強い視線を感じると思ってみると、会長さまが睨んでいらっしゃった。
びくりと肩が震えるのは仕方がないと思う。だって怖い、から。

僕はほかのみんなとは違って、自分から親衛隊に入ろうと思ったわけじゃない。
仲がいい友達(今は副会長の親衛隊長という僕と同じような役に就いている)が一人しかいなくて、ちょっとさみしかったとき。
当時の会長の親衛隊長という先輩に呼び出されて、なんだろうとびくびくしながら待ち合わせ場所に足を運んだら、その時は会計に就いていた会長さまが引き継いで新会長になるということで、また新しく今度は「椿会長親衛隊」を作るから、僕が隊長になってほしいという異例の呼び出しだった。

当時会計だった会長さまは、整った顔で数々の生徒たちを夜の相手として抱いていたらしい。その噂を聞いていて、そういうふしだらな人が嫌いな僕は、どちらかというと会長さまには好意というよりも嫌悪感を抱いていた。
それを正直に、どもりながら言うと、目の前の先輩はうーんと唸り、
「でもそれは高校入学前の話だから!しかもセフレとかじゃなくて一夜限りのお姉さまだから!男には手だしてないよ!」
とフォローなのかそうじゃないのかわからない言葉でわたわたと弁解をしだした。

なんで僕なんだろう、という当然の疑問もあったから、断ろうとしたとき。
「そ、それに友達もいっぱいできるよ!」
その言葉に、思わずぴくりと反応してしまった。
僕の反応を見て畳み掛けるように先輩が「親衛隊入ったらわいわいおしゃべりして楽しいよ!」「親衛隊なんて名ばかりだから、お茶会とかでお菓子とか食べれるし!」

次々と矢継ぎ早に放たれる言葉に、惹かれていってしまった。

「それに真白くん、可愛いから、親衛隊だったらみんな守ってくれるし、もちろん椿くんの力もあるから簡単に手出しされないし!」
「か、かわいい…?」
「自覚なし!?危ない、危ないよ真白くん!入ろうよ!!」
「お、襲われるって…?」
「だから、男のピーがおしりのピーに入ることだよ!」
「ぶくぶくぶく」
「ぎゃあー!!真白くん!!!」

壮絶な男同士の営みに、恥ずかしながら泡を吹いて倒れてしまい。
目が覚めたとき、そばにいて看病をしてくれた先輩の優しさにぐらりときて、はい、と返事をしてしまった。

それが僕の、親衛隊長としての始まりでした。




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