後篇



「違うの、僕が言いたいのはそーゆーことじゃなくて」
「?なに?」
「真白、椿センパイのこと会長って呼んでるの?」
「うん」
「だめだよ!」
「え、なんで…?」

来栖の反論にたじたじの真白。

「おい、東海林、お前さっきから何「会長は黙って!」…」

年下に黙らせる会長。それを見てくつくつと意地悪く笑う副会長。
いつの間にかヒートアップした来栖は頬を赤く染め、可愛く真白に文句を言う。

「だめだよ!会長なんか距離あるじゃん!」
「?じゃあ、椿さま?」
「それはだめだ」
「…!」

さま付は距離が開くからと断固拒否の響汰。
いきなしの口出しに二人がちょっと驚く。それを観察し、(あーまじおもしれえ)と笑う呉哉。

「ていうか会長って、前会長もいるんだし、中等部にもいるからややこしいよぉ!」
「?そ、そうかな…?」
「うん!ねっ、副会長!」
「ソーネ。中高合同の式とかじゃややこしいかも」

その意見になるほど、とうなずく真白。

「じゃあ、椿センパイ?」
「――――っ!!」

ガタン、と思い切り動揺する響汰。膝の上に座っているから、振動がもろ分かりである。びっくりしながら後ろを振り向くと、真っ赤になった響汰の姿。

「椿センパイ?」
「…っ」

男子が言われてときめく言葉ランキングというものがあったら、確実に上位に食い込むほどの破壊力を見せる「センパイ」という言葉。それを大好きで仕方ない真白から言われた響汰は、ただでさえ何の前触れもなくカウンターでる真白の発言で撃沈しているのに、これじゃあ名前呼ばれただけで…。というなんとも言えないへたれっぷりである。

しかしそれにさらに面白がるのが来栖と呉哉である。

「椿センパイよりも、名前でセンパイの方がいいと思うよぉ」
「そうだな」

表向きはアドバイスだが、完璧に面白がっている。

「?響汰、センパイ?」
「!!!!!」

あまりの破壊力にソファの背もたれに頭を乗せ、天井を仰ぐ響汰に爆笑の二人。真白だけはきょとんとしていた。

「じゃあ、来栖も如月センパイのこと呼ぶんだよね?」
「え」


それから1週間たち、やっと響汰センパイに慣れたヘタレであった。

end

暴走しすぎました。だんだんピュアじゃなくなってる気がする。
ひつももはや常連さんの名前をちゃん付けで呼びたい年頃。



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