∴ 04

「…な、んだよ……」
「うるせえな黙って結べ」

理不尽に怒られ黙って結ぶ。
途中から来た生徒は統臥と凪の近さにぎょっと思わず二度見をし、とうとう気持ちが通じたのか…!?と興奮し空気を読んで去っていく。統臥の親衛隊が陽摘の命令で「今大事なとこだから邪魔しちゃだめ!」と、その廊下を通ろうとする生徒を止めたり迂回させたりしているので、まわりには自然と誰もいなくなった。

「…結んだ、ぞ」

きゅ、とネクタイを結び終わる。
凪の様子をうかがおうと下を向いたと同時に凪が上を見たため、唇に触れそうな距離に顔が動く。

「――っ!!」
「…お前さ、指、きれーだな」
「…は?!」
「おれ指フェチなんかなあ…お前の指見てたせいで全然頭に入らんかったわー…」
「な、何がだよ」

思いもよらない凪の発言に、どきどきしながら統臥が聞き返すと、

「ネクタイの結び方だよ…」
「……お前、ネクタイ結べねえの?」
「うるせ!馬鹿にすんなよ!!」
「だから風紀委員らしからぬ格好をしてたっつーことか…」
「不可抗力だ!」

文句を言っているうちに人ひとり分ほど自然と隙間があいた。それに内心寂しく思っていると、凪がずい、とその距離を詰めてくる。


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