色盲


ひどく不格好にみえた。
目が覚めてから見た天井がやたら薄く見えてやれこんなに白かったかなと思った、部屋全体にもやがかかったようにみえた。外へ出れば新緑であるはずの街路樹が青々と、いや実質的に青色と見えてどこのブルーベリー畑ですかとつっこみを入れたかったが生憎ブルーベリーは実しか青くない。道理。これなら部屋にいた方がましだ。交通標識はチカチカするような黄色と蛍光緑、道路は目が痛くなるような一面のビビッドピンク。ご丁寧に原色、マゼンタと言ってもいい。空は‥見たくもないなぁ

人のような物はは全て白い。白い。丸っこくデザインされた人型陶器のようで目玉と口だけそのままで、グロテスク映像じゃないかと呟いたら人がみんな俺の方を見た気がした。気のせい。俺は白い?白くなかった。周りだけだった。


「まだ人愛だなんて叫ぶのか」シズちゃんだ。シズちゃんだった。この世界にはシズちゃんは存在しているし不変だった。「この陶器を愛すのか」何でだ。何で彼だけ変わらないのだろう、同時に俺も変わらない。この白い陶器は人なのか。「人しか愛さないのに人がいないのにお前は」なんかおかしい。おかしい?いやいつも彼はこうだけど更におかしい。「人を愛すのか」

ああそうか


「人がいないから君を人にするよ」

シズちゃんは俺の中で人になりたかった愛されたかったわけか、いや俺の中じゃなくてもいいだろうけど、辻褄を無理やりだけどあわせてみた。じゃないとこっちも気が狂いそうだった。いやもう狂ってる、じゃないといま俺が殺したいくらい大嫌いなシズちゃんにキスなんてしない。でもほら、人がいないから唯一ひとに近い何かでも人にしてあげないと、愛さないとやってられないから。


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