双方向性


いわゆる告白というのをされたもので。

シズちゃんの態度はいつもと同じだというのに口から出たのは「好きだ」なんてありえない言葉だった。うん多分、それありえないんじゃないかなあ。だってよく考えてみろよいがみ合ってきただろ、憎みあってきただろ。どこにその言葉が生まれる理由がある?その感情が?

「嫌だ」
吐くような気分だった。気持ち悪くて頭が痛くてクソったれ、そう吐き捨ててやった。(気持ち悪い気持ち悪いそんなもんいらないんだよ汚い思うな感じるな気持ち悪い死ね死ね死ね)


「おい」「やめろ」
「臨也」「やめろよ」
また憎たらしいことに街の明かりは消えなくて、でもそれはいつものことで今更だったけどあいつの顔を照らしてるのが嫌だった。見えるじゃん。見たくないんだよ俺を殺そうとしてない目なんてさあ。

「なあ、」
「やめろっつってんだろ!!」


ナイフを振りかざしても刺さるなんてことなくて。一方通行だった矢印にもう一方通行の矢印が向かう。矢印と矢印はぶつかる、当たればそれは愛になる。思いはぶつかるわけだから。「いらないんだ」君との間に愛なんて好きなんて反吐が出るね。ねえシズちゃんよく聞いて
「俺を嫌いになってよ」

気づかないままで良くて好きだなんていらなくて信じたくもなくて、なのにお前が好きなんて言うからほらお前を嫌いになるだろ、

「好きなんて死んでも欲しくない」



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