浸水


傘の中に居るとする。何にも濡れない壊れない、しいて言えば取り残される感覚と、どことなく優越感
傘の中には愛を、傘の外にはその他。ぼたぼた落として濡らして溜めて汚い。

傘を少し上に傾ければ目先に薄汚れた金色、雨を含まず外にはねる金色に灰色はとてつもなく似合わない気がした。「いつもお前は一人ぼっちだな」傘は黒、服も白黒、色味の無い彼に唯一の色。「取り残されていつだってそう」灰色が混じって少しだけ、ううんたくさんたくさん。汚い金色になってる「寂しいな」俺はそんな君の髪ですら嫌い、嫌いだよ。汚いのにそれなのに君の一部を支配してるような、劣等感。「俺は、寂しいな」侵されて侵しつくされて、たったひとつの勝ち目ですら見失う。駄目だこれは、最後の


「寂しくなんか、ないでしょ」

寂しさなんて感じてないくせに。寂しいのが寂しいなんて嘘っぱち。自意識過剰もいーとこだよふざけないで!

「俺が、いるのに」


同じだと思っていた彼はもう居なくて、縁の無かったものに触れて金色にすら浸食された彼がいて、今までなかった寂しいなんて感覚を傘の中に落とされた。いらない俺はまだ濡れたくない浸かりたくない
同じだったからまだ俺は傘の中にいれたのに。やめないでよ傘を閉じないで濡れないで顔を上げておねがいだから、ねえ!





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