テロップ


例えるならば俺を含めた周りの全てが役者であって、その中でいくつもあるんだと思う。そして俺もそのいくつの中の役者として過ごしてきたんだろう。

「散々だったな」
そう、散々だった。俺の学校生活の役半分を占めた彼を恨んでやった。大嫌い。むかつく。殺す。死ね。最後まで彼は俺から消えなくて、多分しばらく、いやこれからも消えない。

(いつまでこうやってさあ、)

少しずつ作られていっていたこころに無視を決め込んで、挨拶を送ってみる


「やっほーシズちゃん」
あからさまに嫌な反応を向けてくる彼は相変わらずを青筋立てていて、そんなんじゃいつまでたっても表情筋は緩まないよ。馬鹿だね、本当に馬鹿。「何しに来たんだよノミ虫」ああもうその呼び方止めろって言ってんのに学習しないのかな。

「ねえシズちゃん、今まで楽しかった?今までにない感覚だったでしょう、俺と過ごせて嬉しかったでしょう、君が横にいて俺は少なからず楽しかったよ。」

はぁ、意味が分かんねえよと言う彼を尻目に最後にひとつ吐いてあげる
多分、最初で最後かもしれない。かもしれない、だけど多分、死ぬ位のことでもなきゃこんなこと言ってやんないかも。だからさ、よーく聞いててよ!俺はね、俺を埋め尽くしたのが良くも悪くも君だから、これは逆らえないから、


「シズちゃんで良かった!」


返事なんていらない、欲しくもない。これでまたいつもの俺たちに戻る。役者はもう終わり、クランクアップ、今から俺たちは観客席に戻るんだ。戻るから、戻るんだから、覚えててよ。


(これはこれで、青春映画だったよ)

走ってって、走ってって、気づかないふりして踏みしめてたもうよく分からない花がぐちゃぐちゃになったのを見て俺も多分、いまこの花と同じで、むしろもっと、ぐちゃぐちゃになってるんだと思う。頭も、隠した感情も、多分、きっと、そう




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