B-chat


放課後

「奏、帰るぞ」
響に呼ばれ、奏は机の上のリュックを急いで背負った。

「出来たら今日がいいけど。」
奏は蛍光黄色の腕時計で時間を見ながら呟く。

「まあな。今日やる気満々だしな。」
教室の入り口からでて、階段を下る。

学校の玄関まで来たところで、奏がハッと空を見上げた。
「響、雨降るよ。
早く帰ろう。」
響も続けて空を見上げる。
少し雲が多くなってきている。
「そうだな。」

ーーーー


7時

「ただいま〜」
祭の声と扉の閉まる音が聞こえた。

「あ、お帰り。うわっ」
奏がひょっこりキッチンから顔を出し、祭の姿に仰天した。

「どうしたん…うわっ。
タオルだな。」
祭は雨にうたれてずぶ濡れだったのだ。
「これでも、あたしら陸上は外で練習してたんだよ。」
祭はブスッとしながら茶色いローファーをぬぐ。

「祭!」
響が洗面所からタオルを投げると
「ありがと。」
祭は笑ってタオルを掴んだ。

ちょうどその時、

『ヴーヴーヴー』
同時に携帯のバイブの音が3人のポケットの中で低く唸った。

「チャットだ!」
祭は手早くびしょびしょの頭をガシガシ拭いてから、ポケットから赤いスライド式の携帯を取って開く。

『B-chat』
携帯の画面にはそう記されていた。


『B-chat』とは麗空の作ったblack knightのメンバーのみが閲覧できるチャットのことだ。

こういうような依頼や緊急時の時にメンバー全員が同時にやりとり出来るように送信されることになっている。

合図は「バイブ3回。」これが鉄則。



「『被害者予定の男は仕事が10時に終わるのでそれ以降になります。麗空』か。」
祭は麗空の書き込みを見てから素早く『帰り道に襲われる心配はしなくていいの?』と書き込んだ。

ーーーー

>ほんとですね。
じゃあ、祭と小鳥は男の家から近い海沿いを探索してください。麗

>海沿い?小鳥

>今回の被害者は野良猫を自宅のお風呂に沈めてます。犯人はやられたら同じようにやり返す思考ですから、殺すなら溺死です。麗

>おーけー
俺たちは男の家の近くに待機するよ。響

>なるべく、2人でいてくださいね。犯人はほんとにヤバい奴ですから。麗

「祭何時ごろ家でんの?」
不意に響が話しかけてきた。
「あたしは10時くらいかな。」
「わかった。」

>小鳥。じゃあ、10時に海岸ね。祭

>了解(^^ゞ小鳥

>じゃあ、また送ります。麗

ーーーー


「今のうちに、弾詰めないとな。」
奏はソファーの下から大きな箱を取り出した。

箱を開くと様々な銃器や刃物がずらりと並んでいる。

奏は一番小さい拳銃に弾をつめながら、
「こんなとこで、死ぬなよ。」
祭と響の方は一切見ずに、独り言のように呟いた。









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