イントロ


ピーンポーン。


綺麗と言われるような部屋ではない。
部屋には空っぽのカップ麺の容器がいくつもつまれている。
「んだよ。うぜえなぁ…!」

男はテレビを見るのをやめて早足だが、だるそうに玄関へと向かう。

「誰だよ。もう夜の12時なのに…」
重たい扉にかけられているチェーンを外して鍵を開けた。

「はいはーい。
何のよ…」
扉を開けた瞬間、変なものが視界に入った。
ーピエロだ。
赤い鼻、白い肌、変な目、モジャモジャの真っ白な髪の毛。
そしてなぜか真っ白なナース服。
背丈はそれほど高くない。
女性なのだろうか…

男はその普段見なれていないピエロを見るなり反射的に扉を閉める。
しかし閉まらない…

そいつが扉を押さえているからだ。

「なんだよ!お前…」
男の顔は恐怖にみちていた。

ダアンッ!
すごい勢いで扉を無理やり開けられ、男は外によろけた。

「うわっ!」
しかし中へと力ずくで押し戻されて尻餅をついてしまう。

そして
ガチャン。
と鍵を閉められた。

「なんだよ。」
男は家の中のキッチンへと走って、武器となる包丁を握る。

そしてキッチンから出るとピエロが部屋につったっていた。

「おい!殺すぞ!」
男が包丁を前につきだして脅してみるが、ピエロは全く動かない。

しかし明るいところで見てもかなり気持ちの悪い表情をしている。

その時だった。
「ソレジャナイ。」
急にピエロが喋ったのだ。その声は本当に気持ち悪かった。
よく映画などで使われる卑怯な殺人鬼のような声。


「はっ?」
そしてそれというのはこの男の包丁なのだろう。

(まさか…)
その瞬間男は悟った。

「お前は俺をどうするつもりだよ。」
俺の声は恐怖で震えてしまっていた。



……

「…コロス。」

男は足元から悪寒が走ったのを感じた。
「俺はお前に何もしていないだろ!」


男にはピエロが笑ったように見えた。

ー"キライダッタカラ"
そう聞こえた。

そしてこの言葉は男にとって、聞いたことのあるフレーズだった。


その後ピエロの右手にはいつの間にかドリルが握られていて、
男の目には涙が溜まっている。
(俺はあの夜と同じように…)





「うわぁぁあっ…!」


ーウィーンー
ガガガガッ…


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02.mad clown
〜狂ったピエロ〜














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