デュエルと私どっちが大事なの、ときくと、いつも決まって「どちらも大事だよ」と困ったように笑うの。
君の、ずっと一緒にいてくれるって言葉を信じていた。朝起きて顔洗ってご飯食べて電車にのるの。それって十代がいるから成立した。十代のいない私なんてなんの価値もないよ。十代は私を優しく抱きしめるから、だから私は好きになった。

ふたりで中華料理食べに行ったの。小さくて安い店。
「うまいだろ?」
「お、おいしい。」
「だろ。俺の穴場なの、ここ。」
「いつもひとりできてるの?」
「ん、まあな。」
ウソよ。女ときてるのでしょ。
私は炒飯を半分残した。おいしかったけど食べる気にはなれなくて、それは十代が食べてくれたけど。

不幸でも幸福でも孤独から目を反らすことが叶わないのなら全てが無駄です。融合して所有されたい。自分を生きたくない、自我の責任を押し付けて誰かの胸で眠っていたい。手で目を伏せられたまま寂しさを知らない腕の中で絶えたい。思考するのをやめたい。所有されたい。誰かっていうのは君がいい。十代がいい。私の十代になってよ。私だけの神様になって。

所有されて隔離されることを誰しも一度は望むはずだ。
白い病室に百合が一輪、いや二輪。この花?自分で買いました。ははっ。この傷?自分でつくりましたよ、ええもちろん。

十代は悲しそう。でもドーナツを優しく抱えてる。十代は美しい。どの物語の王子様にもなれるの。特別なの、私だけじゃなくて、みんなに。

「どうしてこんなことしたんだ。」
「十代がそばにいてくれないからこんなことになるのよ。」
「俺がデュエルしちゃいけないの?」
「したいならすればいいわ。」

十代に、私よりも大事にされるものってむかつくよ。ほんとに。

「私を大切にしない十代なんて大嫌い。」
「ごめん、大切にできなくて。」
「できないんじゃなくてしないくせに。」
「…悪いけどこれから大事なデュエルがあるから。」

超人並みの生命力でゴキブリのように生き返る私。あれから十代の代わりを沢山探した。だけど気づいたよ、やはり君だけが特別だった。十代じゃなきゃだめだったの。それって君を好きってことでしょ?だって君だけがずっとそばにいてくれたの。十代だけ私のこと、おかしくないって言ってくれたのに。


遠ざかっていく意識の中で君との毎日を思い出した。なんだ、最初からひとりだったじゃない。孤独じゃないなんて錯覚してるだけだった。でも、もっとずっと一緒にいたかったな。


あの花はもう枯れた。


Lilium

2012/02/29

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