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第3回BLove小説・漫画コンテスト結果発表!
テーマ「人外ファンタジー」
- ナノ -

「じゃあ、今日はここまで。いつも通り、質問あるやつは聞きに来てね」

宗教雑学って言う科目を受け持つあの先生は背が高い。
今まで見てきた人の中でも断トツやと思う。
お父とかの比やない。ネイガウス先生よりもっと高いから、多分190はあるんちゃうやろか。
いそいそ荷物を纏める坊と子猫さんを見て、先生を見る。

「せんせー」

再度友人を見てから、意を決して席を立った。軽く階段を駆け降りて、教壇の前で足を止める。

「先生てどこの宗教?」
「俺は無宗教だよ。実家は仏教だけど。あー、何宗だったかな」

仏教。なんや、俺らと同じやんか!

「あとはー、そない大きなりはった秘策とかは!」
「はは、そんなもんねえよ。普通に寝て食って遊んで、奔放に生きてたらこうなった」

なんや、秘策とかあらへんのかあ……ちょっと残念。
でもにこにこ受け答えしてくれる先生は、なんて優しいんやろか。
他の先生と比べても話し掛けやすい雰囲気やし、これは話しとかなあかんやろ。
そう思て話かけたは良いけど、実際そんな話題なんか持ってへん。
女の子とはわけが違う。

「志摩くん」
「え、あ、ハイ!」
「何かこれやってほしいとかある? そろそろネタも切れてきてさ……志摩くん仏教徒だろ? 今更基礎の基礎やってもなあとか、思うわけだよ」

せやなあ……確かに先生の授業はただ聞くだけの簡単な授業で、他と比べて段違いに緩い。
寝ても、他の授業の宿題やってても、遅刻してもお咎め無し。
先生自体にこにこ笑って、息抜き科目やから自由に過ごしてええなんて言わはるけど、ちゃんと聞いとったら先生の授業はなかなか面白いんや。
いや、まあ、俺もたまにしか聞いてへんし、祓魔塾通ってたりするから、あんまし受け入れがたい内容とかもあるんやけど……。

「んー……先生は上一級祓魔師なんやんな」
「まァ……肩書き上はね」
「やったら、俺、先生の悪魔祓いしてる姿とか見てみたいなあ!」
「ええー? 多分期待に応えらんないと思うよ……?」

言うて気付いたけど、せや。この人が戦ってる姿ってゆうのを見てみたい。
どないな感じで戦わはるんやろ。

「んー……じゃあ、検討してみるよ」

宗教雑学って感じじゃないけど。先生はそう呟いて困ったように笑わはった。