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第3回BLove小説・漫画コンテスト結果発表!
テーマ「人外ファンタジー」
- ナノ -

ベンチに座る、背の高い男を見つけた。確か、あれは兄の言っていた。

「苗字」

呟いた声が聞こえたらしく振り向いた彼は、兄が話していた通り、傷だらけだった。

「ん、む?」

口に頬張った水色のそれは、日の光りできらきらと輝いている。

「……たしか、ファウストくんちの小鬼くん」

水色は口から離れて彼の右手へ。先端からぽたぽた水滴が滴り落ちて、地面を濡らす。

「……アイス」
「ああ、食べる?」

食べかけでよければ、と差し出されたそれに、勢い良く噛み付いた。さっと口の中に涼やかな甘さが広がっていく。

「ほら、座んな」

たんたん、彼が隣の開いたスペースを叩く。頷いて隣にお邪魔した。

「小鬼くんはアイス好きなの。すっげー物欲しそうにしてたけど……」

こくりと再度頷く。アイスも好きだけれど、お菓子であればたいてい好きだ。
黙々とアイスを食べていると、頭に重みを感じて視線を上げた。頭を撫でられているのだ。

「ファウストくんは良いなァ……小鬼くんみたいなかわいい弟がいて」

あれ。違う。そう思ってふるりと頭を振った。彼の顔を覗けば、怪訝そうな表情。アイスはもう食べ終えてしまって、それだけになってしまった棒を口から吐き出す。

「小鬼ではありません。アマイモンです」
「……口の周り、べったべただなァ」

生憎タオル持ってきてねえんだ、なんて言われてしまった。
彼の目がすっと細められる。

「そうか、小鬼くんが下位王子か」

彼は先程名を教えてやったというのに、それで呼ぶ気はないようで、再度ボクを小鬼と呼ぶ。

「……小鬼くん、俺が何だか知ってる?」
「はい」

そうかあ、彼は笑んだまま、深く息を吐いた。からんとアイスの棒が地面を叩く。