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「#幼馴染」のBL小説を読む
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- ナノ -

元気ですか!
元気が一番、元気があれば何でもできる!
鬼だって倒せるし、古武術だって身につけられる。刀を振って息をしろ!
己を知れば百戦も怖くないし、自分が歩けば後ろに道はできている。
迷わず行けよ、行けばわかるさ! 行くぜ! いち、にの、さん!

「俺の呼吸、肆ノ型! 死ねェ!!!」

勢いよく刎ね飛ばされた頭が、屋根の上をごろごろ転がった。落ちてこない。どこかに引っかかったか、窪みにでもはまったのか。屋根まで飛んで壊れて消えるとか、お前はシャボン玉か何かですか。体の方はボロボロと崩れていくのが見えた。頭の方も消えてなくなるだろう。はー、終わった終わった。今日の任務はこれでおしまい。さあて早く帰って字の勉強しなきゃ。

「此方ヨリ南ノ山一ツ超エタ町ニテ鬼ノ報アリ! 至急向カワレタイ! 繰リ返ス! 此方ヨリ……」

頭上で旋回する烏が鳴いた。これは喋る烏だ。不可思議な存在だが、喋るんだから喋るのだ。正式名称は何て名前だったか、人魚姫……あ、かぐや姫か。かぐや姫が金持ちに持って来させようとしたやつだ。ほら、アレだ。あの、燕の巣の糞の……忘れたな。忘れた。そんな感じの名前だった。
とにかく、次の任務が入ってしまった。ブラック企業にお勤めの俺、休暇なんて夢のまた夢である。こんなに頑張ってるのに。でも仕方がない。なんたって所属の会社はワンマン経営、個人事業。お給料は多分他よりも多めに貰っていると思うので、それに見合ったお仕事量だ。危険手当も含まれている。そのお給料を使う機会も食べ物以外には殆どないけどそれも仕方がない事だ。だってこの仕事を選んだのは俺なのだから。

「はいはい、了解りょおかーい」
「返事ハ一度! 正確ニスベシ!」
「……了解!」
「ヨシ!」

烏は一人の隊士につき一人が原則なので、これは俺に与えられた烏なのだけども、頭が固いのか古いのか、特にお作法に対してなんとなく厳しいのである。時々上司のように感じることもある。
ともあれ、任務が入ったので、次の仕事も頑張りますかっと。
あ、隠さん。イエーイ。今日も後始末のほうよろしくお願いいたします。
俺? 俺は今から南へ鬼退治に行ってきます。人の世の生き血を啜って不埒な悪行三昧をしている醜い浮世の鬼退治ですよ。なんてこった。俺は桃太郎さんなのであった。鬼退治する昔話いっぱいあるけどな。一寸法師も金太郎も確か鬼退治をしていたはずだ。浦島太郎は鬼退治してないけど。

「今日も元気ですねえ」
「元気がないと何もできないからね!」

じゃ、お互いお仕事頑張りましょー。



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