刀剣 | ナノ
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「#幼馴染」のBL小説を読む
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▼ 05

注文した品物が届いた。
二人を呼びに行ったんだ。内番しかやらせてなかったんだけど、その日はちょうど畑当番だった。二人とも野菜とか育てるのも初めは結構あたふたしてたけど、数日で慣れた。

「二人とも、注文した物が届いたよー」

畑はトウモロコシとかトマトとかキュウリとか、背の高い植物も結構あって、みんながどこにいるのかわかんないことも多いから、いつも通り畑の入り口で声をかけた。ら、数秒して二人とも走って来た。鶴丸はしっかり立ってこっちを見てるんだけど、包丁は明らかに疲れてますって顔でこっちを見てた。鶴丸のよくわからない教育の賜物で、二人とも俺が喋るまで喋ろうとしないんだよな。で、荷物届いたから取りにおいで、畑仕事は今日はもう終わりでいいよって言ったら包丁は手を叩いて喜んでたし、鶴丸も苦笑して包丁の籠を持ってあげてた。お兄ちゃんみたいだった。
で、多機能携帯電話はちょっと複雑だからと思って使い方を説明したら、包丁は次の瞬間にはハーすげーって感心しながら使いこなしてた。いやお前がすげーからな。と褒めてあげた。喜んでた。で、おつまみとポケットWi-Fiを渡してあげたら感激したらしくハグしてくれた。うんうん、包丁は可愛いね。言葉遣いは全然可愛くないんだけどさ。他の本丸の包丁くんは可愛いのに。言葉遣い。
鶴丸の荷物は重過ぎるから部屋まで持っていくのも考えてキャスター付きの台をオマケであげた。喜ばれたし、鶴丸もハグしてくれた。肺から全部の息が絞り出された。お前の力強すぎんだよな。畑当番の日は鍬で素振りをやってるらしい。腕が日に日に逞しくなってんのはそのせいですね。俺の鶴丸は儚くないとかそんな。
二人とも弾んだ声で会話している。いけないなーと思いながらも聞き耳をたてるあるじ。ごめんよ。

「これでようやく!ようやく女の子と話ができる!女の子存在を感じられる!ヒャッホー!国永は重そうだけど、どうすんのそれ」
「いいか藤四郎。筋肉だけはな、裏切らないんだ」
「フーン……まあ良いけど。今の時代ってSNSできんのかな。FacebookとかTwitterとか残ってんのかな〜」
「それで、お前はどうするんだ?」
「女の子探して話すんだよ。その子が処女だったらマジ最高、そしたら会って話してえ、何だよその顔。別に取って食うわけじゃねーよ。そんなことしたら処女じゃなくなっちまう。良いかぁ?処女ってのはなぁ」
「……長くなるか?」
「当たり前だろ!?」
「……また今度聞くことにしよう。その時は俺の話も聞いてくれ」
「しっかたねえな〜!どーせ筋トレの話だろうけど、話聞いてもらうんだしな。いいぜ、付き合ってやるよ」

一体何を話してるんだお前たちは!?
あるじはとてもしんぱいだよ。どうしてこんなことになってるんだ。筋トレと処女の話しかしてないじゃん。おかしい。俺の鶴丸と包丁はもしかして亜種なのかもしれない。そう思い始めたのはこの時。


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