刀剣 | ナノ
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▼ 04

俺の本丸は鶴丸難民だった。
鍛刀では常に鶴丸の優良配合を回し続けてた。
でも来るのは鶯丸。毎回毎回鶯丸。
俺って大包平だった?て思うくらい鶯丸が来る。
その時はちょうど大阪城地下探索の時期で、泥狙い周回を一時取りやめて掘削してたんだよ。
日課の鍛刀で祈りながら資材を投入すると出る時間は03:20:00だったからいつも通り鶯丸だと思って、先に大阪城の地下探索を行うことにした。
第一部隊長を一期一振、隊員に岩融、あとは育ってない刀剣と博多を入れつつ順調に地下を進んでいくだろ?
いつも通りにボスっぽい歴修を倒したら、刀を落とすわけ。俄かに騒つく無線機の向こう側、一期がすぐに戻りたいって言って来たからまさかなって思いながら帰城させるじゃん?
で、顕現させてみたわけ。そしたら桜と共に包丁が顕現された。

「包丁藤四郎だぞ!」

ウソだろ、これは来ているかもしれない!今しかない!と思って包丁にはそこで待機してもらって、急いで刀匠に手伝い札を渡したわけよ。
そしたら桜の向こう側に見えたのは白色。
緑じゃないんだよ。鶯丸じゃねーの。
そんなまさか、と思いながら名乗りを待ってたら、きた。

「よっ、鶴丸国永だ」
「ウワアアアアアアアアアアアアアア!!!鶴丸国永だぁぁぁぁぁぁ!!!!!!!!」

叫んだね。待望の渇望丸さんがようやくきてくれたわけだから。
もう頭の中はパラダイス。なんでこんなに欲しかったのか自分でもわかんないんだけど。ハッピーになった。今日は無理だから明日は宴会だ!と思って鶴丸もそこで待機させて光忠に超特急で報告した。伊達組がなぜか光忠のもとに飛んできた。うんうん待たせたからね。
で、待機させてたふた振りに本丸を案内して、何か不便なことはないかって聞いたら、二人とも今の状況がよく掴めてないらしくてさ。
よくあるじゃん、本霊から分霊に分ける時知識入れ忘れるとかいうウッカリ事案。
二人とも記憶もあんまりない、知識も定かではないってことで、とにかくすぐには出陣させずに内番回しながらって事になった。
その間に粟田口も飛んで来た。で、部屋割りをどうしようか決める時、いつもなら新しい男士が来たら、旧知の仲だったりする刀剣と同部屋にするっていう方針だったから、今回もそうしようとしたら、ふた振りとも顔を見合わせて、あ、じゃあこの人と相部屋になるって事だよね、俺たちはそれでオッケー!みたいなこと言い出すわけ。後ろで粟田口と伊達組が騒いでたけど、二人の間で話が進み始めてて撤回するのもな、と思って同室にした。
で、ここからは俺の本丸の決まりみたいな感じで、初めて来た刀に欲しいものを聞いて俺の小遣いの予算内で与えられるものは与えるっていうのがある。で、二人にそれを聞いたわけ。
別に今すぐじゃなくてもいいんだぞー、欲しいものが見つかった時まで保留でも良いからなーとは言ってたんだ。刀剣男士は今まで刀だったし、すぐに欲しいってものが見つかるわけでもないし。
でも二人は違った。

「それじゃあ……動物性プロテインを頼む。シェイカーがあると助かるな。それから十キロの鉄アレイ……あとできるなら体重計とノート、筆記具なんぞを貰えると助かる」

これは鶴丸。いきなりそんな訳の分からないことを言われる俺はとにかく端末に言われた通りの言葉を入力した。体を本格的に鍛えてない俺は単語の意味が理解できなかった。鶴丸の驚きに対する意識高杉って思ってた。
そんな遠慮のない鶴丸の隣にいた包丁も、マジで!?みたいな顔をしてこっちを見るから、とりあえずなんでもいいから言ってごらんて言ったんだ。演練とかで包丁の事は見てたから、お菓子の詰め合わせとかなんだろうな〜と軽く構えてたわけ。そしたらどうよ?

「マジ何でもいいの!?じゃあ、じゃあ俺多機能携帯電話!インターネット使えるやつ!Wi-Fiとか欲しいけどインターネット環境さえあればそこまで欲しいとは言わねーからさ!あと、あれ!ビーフジャーキー!あれ好き!あ、貝ひもでも良いな!カルパスも美味しいし!つまみ!欲しい!」

誰がこんな事言われると思う?誰も思わない。とにかく勢いに押されて端末で言われた通り入力し、カートに商品を入れてポチッてしまったわけだ。今月の小遣いはゼロです。いやむしろ貯金もちょっと削られてマイナス。
で、品は後日送られてくるからってとりあえず二人の部屋に案内した。基本的に仲のいい刀剣男士同士ルームシェアさせるから、俺の本丸は一部屋一部屋を大きくしてあるのね。でも二人部屋だから他の子らよりは狭めの部屋を見せたら、二人ともえっ?て顔するんだよ。何か問題でもあったかな、て思うじゃん。

「……えっ、マジ?ここ?広すぎじゃね?」
「何畳ある?」
「わっかんねーよ、そんなん。うわ、うっわマジか〜スゲー……」
「都心ならこの広さだと……軽く見積もっても家賃相場は10万行くんじゃないか」
「はあ〜社長流石カネモだわ……何やらされんのかスッゲー怖ェ」
「言うんじゃない。訳の分からん俺たちを拾ってくれた社長だ。死なない程度には頑張らねば」
「俺めっちゃ弱そうだけど大丈夫かな」
「俺の体もすぐ折れそうだ。筋トレするか、坊主」
「あんましんどいのやだぜー、俺。でもやるよ。社長に恩返ししなきゃなんねーしなあ」

そう二人で会話しながら部屋を検分してた。これで広すぎるって言う二人が俺は心配だ。歌仙や粟田口はものが溢れて狭い狭いってよく言ってるからな。

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