ブラック本丸。
未だ政府が頭を抱える事案である。

刀剣男士は人間に危害を加えてはならない。
人間の命令には服従せねばならない。
上記二つに違反しない限り己を守らねばならない。

刀剣男士として顕現する際に結ばれる契約内容に縛られ手出しのできない付喪神に対して、優位に立つこのとできる人間の態度は、往々にして大きくなる。人間の弱さの表れだ。
それはほぼ全ての人間に例外なく当てはまる。
自己顕示欲や、自己愛。他人に依存し、依存させる。一見するとなんの問題もない関係も、片方からすれば不快感しかない時もある。
虐待にセクハラ。
いつの時代でも見られる社会問題は、技術が発展した現在でも無くならない。

世間から隔離された、閉鎖的な空間。
選ばれた人間にしか就けない特殊な職業。
普段は誰の目にも晒されることなく、少しの間取り繕うことさえできれば良い。
自分に逆らう事をしない、頭を垂れる見目の麗しい人外達。
どれだけ摘発し、対策を練ったところで、減少しないのも頷けた。

だが、しかし。
それを放置しておくわけにもいかない。
けれど政府の対策課が全てを管理できるわけでもない。
故に、精査に精査を重ね、この審神者なら大丈夫だと判断された者へ、摘発の支援を要請するしかない。

通称ブラック本丸。
数百年前に作られた言葉をもじった、所謂人権を無視した体質を持つ本丸のことである。

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