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(プリテンダー、男性)


リペア台に横たわるそれを見て排気を漏らした。

「どうしたらそうぼろぼろになるんだ」

内部機関を剥き出しにしてバチバチと青い火花を散らす場所もあれば、ひしゃげた装甲に欠けたフレームも多々目についた。ざっと表面をアイセンサーで撫でただけでも、時間のかかるリペアになるのは明らかで、スキャンするのさえ億劫になる。

「マスターに頼んでドクターを寄越して貰、」
『世話になった』

ばらばらと細かいパーツを落としながら体を起こすそれを見て苦笑する。
本当にみんなドクターが苦手だなあ。
そう言えば当たり前だ、と帰ってくる。

『あれはヤブ医者だ』
「バリケード。ドクターは本物だ」

窘めるように名前を呼ぶ。ぎゅるんと不満げな音を立てる彼は、だったら何故いつもはちゃんとした修理をしない、と訴えたいのだろう。

「マスターに似たんだよ、きっとね」

日和見主義の我らが主人を思い浮かべる。好きなものは泣き声と悲鳴だというあの主人を、彼も思い出したらしい、器用にその顔を歪め、くそ、と呟き不満げにガスを排気する。

『……時間がかかっても良い』
「報告は?」
『……メモリーチップがあんだろーが』
「……他力本願め」

大人しくしててよ。
頷いた巨体に満足して、メモリーチップを取り外しにかかった。

「そうだ、ところでフレンジーは?」
『オールスパークを探しに出てる』
「……君は本当そういうの苦手だねえ」