×
人気急上昇中のBL小説
BL小説 BLove
- ナノ -
(大型輸送機、男性)


ディセプティコンの残党というのは厄介なもので、例えば小さいものが大量にいたり、大きなものがひとりでいたり、逃げるだけのものもいれば、我々を見付けて攻撃を仕掛けるものもいる。様々な個性と命の形をもったそれらを、簡単に倒すことはできない。
今回は特に厄介だった。二体の大きな体をもつそれらに対応するには少しばかり数が足りない。多勢に無勢ではあるが、敵はこちらの数をもっても有り余る強さを見せ付けた。
黒が弾き飛ばされ、シルバーが突っ込み、やはり弾かれる。二体の巨大な金属の塊は、更に小さな有機生命体からの攻撃をものともせず、我々の攻撃も余り苦にしたようなそぶりを見せない。強固なそれを倒すにはどうすれば良いのかとブレインサーキットを唸らせるが解決策は到底浮かばず、不機嫌を隠すこともせずに排気した。
ぎゃん、と短い悲鳴を聞いてアイセンサーをそちらに向ける。腕を無くしたシルバーのそれが地面をごろりと転がっていた。しかし腕一本がなんだと言うように素早く立ち上がり、彼はまた巨体に挑んで行った。
通信が入る。かの斥候が被弾したとのことだった。現在最年少である双子も、女性である三姉妹も攻撃を受け、被弾しながらも強大なそれに立ち向かっている。さて、ただひたすら消耗するだけの戦闘に終止符を打たなければ。
かの輸送兵に通信を入れる。戦闘を許可する、と。
途端上空に輸送機が現れる。近くで待機していたのだろう。待っていましたと言わんばかりに、一度二体の巨人の上でぐるりと円を描いた。
ハッチが開かれ、二つの影がするりと落ちる。影はスピードを落とす動作を見せることなく一つは巨人の足元に着地した。もう一つは同じ巨人の上に着弾し、巨人の痛みを訴える咆哮が辺りの空気を震わせる。それを追うように輸送機からは砲撃が開始され、ある程度の量を撃ち込み終えるとその輸送機もまた落下をはじめる。墜落直前にそれは人型に姿を変え、巨人の頭に手をかけた。

『こちらは私に任せて下さい。向こうの援護を頼みます』

戦場に似合わぬ穏やかな声音で、輸送兵は前線に立つ黒とシルバーの師弟に声をかけ、赤いアイセンサーを巨人に向けた。
ぎらつく赤は、確かに彼が破壊者であることを示している。

『覚悟はできているかな、兄弟!』