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(トランスフォーマー、男性)


ドォン、と轟音が響いた。
広い滑走路に大きなクレーターを開けた金属質のそれは、のそりと穴から這い出して、一番近い迷彩柄に目をやった。次には自分の体をその迷彩とそっくり同じに作り変える。そうしてエンジンをふかし、運転手の姿がない装輪装甲車は、そのままクレーターに背を向けて走り出した。
迷彩柄の装輪装甲車はのろのろと、徐々に速度を落とした蛇行運転をしながら滑走路を走り、遂にゆっくりと走行を停止する。
それを見ていた複数の人間が大きな円を描いてそれを取り囲み、ある一人が拡声器を使って大声を張り上げていた。

「そこの装甲車、今すぐ配置へ戻れ!」

そのすぐ隣で何か機器を弄っていた男が、間違いありません、と拡声器の男に声をかけた。

「くそっ! やっぱりか! オプティマス!」

男の声を聞いたらしいそれらは、ギゴ、と大きな音を立てて立ち上がる。澄んだ青い瞳を持つ、金属の巨人たちだ。
彼ら金属生命体は、機械機器に擬態してこの地球に溶け込み、正義の軍団として善悪の戦いに身を置いている。そして目の前の装甲車もまた、金属生命体であった。

『私はオプティマス・プライム。オートボットの司令官だ』

一番大きな金属の巨人が高らかに宣言する。迷彩柄のハンヴィーはそれを聞いたのか雲のかかる空へライトを照らし、
あろうことか悪の軍団の証であるインシグニアを投影した。
ディセプティコン!
誰が叫んだか皆一様に武器を構え、金属の巨人達もまた今にも襲い掛かろうとせんばかりに身を屈める。
ぴんと張り詰めた空気の中、最初に動いたのは他でもないハンヴィー自身だった。その場で大きくバウンドし、独特の音を出しながら姿を変えて巨人を形作る。赤い瞳が強く輝いた。
巨人はわたわたと腕を弄り、消えていた映像をホログラムに変えて宙に投影する。映されたのは緩く回転する正義のインシグニアだった。

『司令官!』

響いたのは若々しい少年にも近い男の声。彼は易々と人々を飛び越えて更に大きなオプティマスに体当たりをし、オプティマスはそれを受け止め、君だったのか、と嬉しげな声音を出す。隣にいた黄色い装甲の彼もまた喜びのためにラジオを流した。

『只今到着しました!』