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(人間嫌悪、トランスフォーマー、男性)


『触るなよ』

小さな有機生命体が足元をちょろちょろと走り回っている。我らが司令官、オプティマス・プライムが安全だというからきっと安全なのだとは思うけれど、やはり不安と嫌悪は拭い去ることができなかった。
これらが本当に安全だと言うのだろうか。この人間というものが、本当に何か我々に害成す菌類を保有していないという確信は。
オプティマスからの通信を受けて直ぐにこの土の惑星にやって来たが、どうにも調査不足だった様で。バンブルビーは人間の味方をするから、これでは正確なこの惑星の情報を得ることも難しそうだ。

『ああ、おい! 止めろ、触るな!』

わらわらと足元に群がる虫みたいな人間に向けて声を荒げた。それでも聞く耳なんか持たないとでも言うのか、べたりべたりと装甲を触るそれに言いようのない嫌悪感を覚えて、腕を素早く変形させて一発足元に撃ち込んだ。人間が散り散りに逃げていくのを感じていくらか曇ったスパークが、すっと晴れたような気がした。ちりりと装甲が傷付いたが、消毒代わりだと考え直して足元に目をやり、うぇっと声を上げる。
やつらのために威力を弱めてやったというのに、レーザー砲に被弾した数人が、肉を焦がしてのたうち回っている。ざまあみろ、と声をかけた。

『何度も俺は忠告したんだ!』

自分は我慢してやっていたのだ。触るな、撃つぞと何度も声をかけた。というのに奴らはわいわいとまるで聞く耳を持たずべたべたと汚い手で触る、触る。撃たないとでも思っていたのだろうか。とんだ下等生物だ。

『死んでねえだけありがたいと思えよ、蛆虫め!』

ああ、司令官のためとはいえ、こんな星に降りて来るんじゃなかった。
ううう、と足元から不快な鳴き声が聞こえ、悪態をつく。こんな鳴き声聞いていたら、聴音回路が錆び付いちまう。
通信を入れた。通信先は人間だ。忌ま忌ましい。
こちらレノックス、と返答を聞いて、状況を荒々しく吐き捨てた。

『誤作動起こしちまった。数人重体だ、医者を寄越してくれ』