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「#幼馴染」のBL小説を読む
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戦闘機が変形しながら基地に降り立つ。いつもなら轟音を響かせて着地する彼は、今回ばかりはいつもより静かな着地であった。落ちて来る人間をがしりと掴み、すいと穏やかに地に降ろした。そのまま彼は何を言う事もなく、今度はキャンピングカーに体を組み替え、エンジン音を響かせる。そして割り当てられた彼らのための格納庫へと走って行った。



「最近あいつ、丸くなったよな」

そう零したのは先程の光景を見ていたNEST指揮官だった。
周りにいた男達も思い当たる節があるのか、そういえばと同調を始める。擦り傷だらけの彼らは取り分け金属生命体と仲が良い。接触頻度の高い彼らがわいわいと人間嫌いの彼について話し合っていた。
そこに通り掛かったのが話題の彼と比較的接触の多いファイターパイロットで、報告のために指揮官を探していたわけなのだが、当の指揮官は完全に休憩の体制を取っており、彼は落胆のあまり肩を落とした。
そうして彼に気付いた一人が質問をはじめ、ならば本人相手に確認してみれば良いと彼は言ったのであった。



こちらへ走って来るキャンピングカーを見ながらファイターパイロットは苦笑していた。NEST指揮官の隣に立ち、どうやら機嫌が悪いようですねと零す。
目の前でキャンピングカーは停止し、人型に姿を変えた。腕を組みあたかも不機嫌だと言わんばかりに、ぶおんと大きくエンジンを鳴らす。

『何の用だ』
「君が最近優しくなったとみんなが言うから、少佐殿が確認したくなったんだと」

緩やかに、しかし本題をずばりと言ってのけたパイロットに、指揮官は少しばかり瞠目する。
そしてその解答が不満だったのか、明らかに面倒臭いといった表情を巨人は見せた。

「で、確認だけじゃおもしろくないというから、賭けをした。君が、僕らを乗せてくれるかどうか」
『お前とその少佐殿をか』
「そうだよ」
『断る』

その言葉を聞いた途端にパイロットが吹き出した。ほらみろ、と声を上げる。言った通りだ!
それに気分を害したとばかりに顔を歪めたのは目の前の巨人だ。彼の思い通りに動いたという事実が嫌なのだろう。ぎゅるんと彼は内部機関を鳴らす。

『確かにお前ら有機生命体に敬意は払うが、それとこれとは別だろ。お前らのような脆弱な有機生命体、嫌いなことに変わりは無い』

それを聞いてもパイロットはにやにやと笑ったまま。指揮官は彼の言葉に少し気を悪くしたようで、眉間にぐっと皺を刻んだ。

「でも君は乗せるんじゃないのか」
『……何だと?』
「一人でラチェットの所へ行くのは嫌だろ」

巨人はぶおんとエンジンを鳴らし、次にはキャンピングカーへと姿を変えた。
荒々しくドアが開く。
パイロットはからからと笑った。