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- ナノ -


◎Express.6


ここらへんのジャンルはどこまで直接的に表現して良いのか……
一応ここも検索除けはしてあるんですけどね。あと純粋に電車隊難しいです。

雨傘を差した少女は、土の上に直に座り、ぼんやりと雲ひとつ無い空を見ていた。
すぐ後ろの線路を列車が通る。
しかし、全てが通り過ぎ前にそれは速度を落とし、少しして完全に停車した。
ドアが開き、一人の男が飛び降りる。
少女は傘を傾けて後ろを振り返り、ふわりと愛らしい笑顔を見せた。
「こんにちは、保線員さん」

車内はいつも以上に賑やかだった。身に余る大きさの雨傘を抱えた幼い少女が、特別に乗車を許されたからである。
「かわいい〜っ!ねえ、あなた名前は?」
フリルのついた桃色の服の少女が身を屈めて雨傘の少女に名を問うが、彼女はすっと男の後ろに隠れる。
その行動を見ていたヘルメットの男はぎゅっと眉間にしわを寄せる。組んでいた腕を解き、雨傘を取り上げて壁にかけ、己の背に隠れる少女を抱え上げた。
少女は彼の首に抱きつく。
それを見ていた彼の仲間達は驚き目を丸くしたが、フリルの少女は飛び跳ねて拗ねた顔を隠そうともしない。
「あーっ明くんずるい!」
「……大勢に囲まれて怯えてるんだ」
セミロングの黒髪を梳くように頭を撫でる、男の手つきは手慣れていて優しい。
雨傘の少女は彼の肩口にぐりぐりと額を押し付けた。
「こいつと話すときは一人ずつにしろ。……今日は帰る」
少女を抱きかかえながら、男はくるりと向きを変え、自動ドアをくぐった。ぽかんとしていた五人ははっとしてすぐに追いかける。
「ちょ、ちょっと、明くん!」
「傘!傘忘れてる!」
「名前教えてよ〜っ!」
しかし、もうそこに二人の姿はない。

「悪かったな」
「……いい……保線員さん、すきだから」
「そうか」
「ん。……どこいくの」
「俺の列車だ」
「……あめ、ふらないね」
「ああ」


10/03 04:37


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