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◎ぶらっくぶれっと×創作


※アニメしか見てない

「ガレリア?」
「ガストレア」
男はふうんと興味なさげに返事を寄越した。短い黒髪に複数の絆創膏が張られ、やんちゃな印象を受ける。実際そういう性格ではあるのだろう。椅子をあえて反対にして座り、落ち着きなく身体を動かしていた。
「つまりそのでっかい虫を退治する警備会社がここ」
「そうよ」
「うひひ、民間の警備会社が害虫駆除業務も兼ねてるの、面白いね」
男は肩を震わせ、笑いながら制服姿の少女を見る。
「しかも女子高生が社長」
世も末! と椅子の背に額を押し当て耐えきれないとばかりに笑い声を上げる。しかし、それも直ぐに収まり、男は自分の背後に顔を向けた。ドアの横の壁に凭れる制服姿の少年と、その少年の横で男をじっと見つめる長いツインテールの女児。
「その小さな子の名前は?」
男が問うが、誰も口を開かない。
「……その子の名前は」
落ち着きなくどこかしら身体を動かしていた男は、ぴたりとその動きを止めた。少女に視線を戻し、すっと目を眇める。
「名前を聞いてるだけだろ、なあ」
男がついに立ち上がり、少女を睨む。右足を出し、左足を上げた。
「延珠だ」
愛らしい声が部屋に響く。
「藍原延珠」
「延珠ちゃんか」
男はくるりと向きを変え、延珠と名乗った少女の前に立つ。成人男性よりもはるかに背の高い男に、延珠は半歩ほど後退る。
男はぱちりとひとつ瞬きをして、それからにっと笑った。延珠に目線を合わせるようにしゃがみ、両手を取る。
「俺は雑賀蓮一。きみと同じようなものだ」
雑賀を見つめて、延珠はごくりと喉を鳴らした。自分たちと同じような赤い瞳が、そこにあった。


05/15 12:36


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