BLコンテスト・グランプリ作品
「見えない臓器の名前は」
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- ナノ -


◎孫と女中と天女様


市原梅子→孫が拾った女子高生、女中に転職
犬塚煤竹→孫子飼いの忍び、佐助とは犬猿
天野姫花→空から舞い降りた天女様、男たらし

「伊達に天女だぁ?」
驚き過ぎて口調がすっ飛んでしまった。煤竹と梅子も目を丸くして此方を見つめている。
「……済まん、驚いただけだ。ンン、で?」
「は、天女と名乗る女は齢にして15、伊達の当主の寵愛を受けている模様です。服装はこの梅子が着ていたものに似ており、女の話す言葉も私には理解の範疇外でして」
「ああ……成る程。あれだな、ケータイとか」
「は、その他にすきんしっぷ、や、きゃっちぼーる、とも。また南蛮の言葉にも通じている様子」
「……梅子」
「ハイそれ完全に同郷ですね!」
「二度ある事は三度あると言うが……」
「えっ私と伊達の天女さんの他に誰が」
「ハア……言葉のあやと言うものも解らんのか」
「そ、そんな物乞いを見る様な目で見ないで下さい!!!す、煤竹さんまでー!!!」

「は、初めまして! わたし、天野姫花と申します!」
「う、うむ。お初にお目にかかる、そ、そそ某は真田源次郎幸村と申す! 天女殿、遥々良う来られた! 政宗殿と片倉殿も歓迎致しますぞっ!」
惜しげも無く晒された白い足にちらちらと視線を向けながらも、きちんと言い切った若虎に乾いた拍手を胸中で送りながら、奥州の主従に同伴して居る天女を見る。セーラー服、と言う事は梅子とは同じ学校ではないらしい。同年齢でも無いので、知り合いな事を期待したわけでは無いのだが。私の後ろで控え目に座りつつ、若い……! と歯軋りをする彼女の頭を引っ叩いておいた。客に対してその態度は何だ、新入り。
佐助ぇ! と悲鳴に近い声を聞き若虎達へ視線を戻すと、どうやら彼女の足やら胸元やらに耐え切れなくなった彼が、信頼の置ける従者を紹介しようとしているところだった。其れを肩を揺らして見ている伊達の当主は、斜め後ろに立っていた右腕の男を態々呼び寄せ、彼の肩を叩いている。迷惑そうな表情が此方からでも見て取れた。
「もー、旦那ったら。はやく中に案内してあげなきゃダメじゃない。ごめんねー、姫花ちゃん! 立ちっ放しで辛かったろー?」
猿飛が自然な動作で彼女の肩を掴み、上田城へ入る事を促す。
「今は武田から大事なお客様が来てるから、旦那方、今回は暴れるのは無しね!」
その言葉を聞き、天女がぴくりと反応した気がした。

「梅子」
「はい」
「あの天女が此処に居る間、お前には天女付きの女中になってもらう。同郷と言う事はばらすな」
「は、はいぃ!? 信勝さ、なん、えっ!?」
「決定事項だ。反論は認めん。煤竹」
「此処に」
「天女から目を離すな。……お前達には天女を見張って貰おう」
「御意」
「な、なんでですか!」
「面白そうだろうが。だが、私は天女に関わらない。傍観するのが丁度良い。私の目だ、ぬかるなよ」



完全傍観決め込みたい孫
名前の由来は
市原梅子→いちばんめ。うめこは適当
犬塚煤竹→野良犬
天野姫花→天のお姫さま


06/13 18:37


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