◎こーどべいん 体験版やっただけ × 「兄弟は多分、大勢いるのだと思う」 記憶がわずかに戻ったらしい青年はそう言った。名前はツー。二番とナンバリングされているのだから、当然その後にも数が続くのだろうことは誰もが想像し得る事である。 「同じ、個体だ。元は。俺がこんなだから、きっと他の兄弟も似たり寄ったりなんじゃないか、と思う。俺が今思い出せるのは、ファイブ……五番までだ」 青みがかった髪、左目の下にある二連のほくろ、左右で必ず違う目の色と、爬虫類に似た瞳孔。それが兄弟に共通する外見特徴なのだと言う。 「オリジナルの姿形は知らない。と思う。吸血鬼だったのかもわからない。ただ、まあ、たぶん、俺たちが産まれたのだから、きっと」 兄弟を産み出した者は、酔狂だったのだろう。産み出した人物の顔も思い出せないが。父母もわからない。わかるのは四人の兄弟の背格好だけ。 「どこにいるのかも?」 「わからない。ただ、俺がここにいるのだから、兄弟たちもいるんじゃないか」 この女王の牢の中に。青年はそう言って、境界を見る。 12/08 08:52 mae top tugi |