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「#幼馴染」のBL小説を読む
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- ナノ -


◎メータンテー


「お姉さん、それ、シャーロック・ホームズでしょ!?」

知らない子供が隣に座っていた。本を閉じ、そうだよ、と返しながら周囲を見回すが、少年の親らしき人物が見当たらない。マジかよ。本を鞄に仕舞い、ここがボックス席であることに心底絶望した。子供が邪魔で出られない。こんな小さな子供、しかも勝手に他人の席に座ってくる厄介で躾のなっていないガキを放っておくとか信じられない。店員に助けを求めようとも、なぜか微笑ましげな表情を見せている。神は死んだのだ。味方はいない。ああ、評価下がるなあ。
こういう時はどうすれば良いんだろう。警察?児童相談所?店の本社?あるのかわからないけど。とりあえず携帯電話を手に取る。
なにかしきりに喋っている子供の言葉を聞き流し、適当に相槌を打ちながら、鞄を引き寄せて立ち上がる。

「ごめん電話、どいて」

もしもし、と電話に向かって言葉をかける。画面の向こうは真っ暗だし、そもそも電話の相手なんていない。うるさいガキから離れられればそれで良かった。
今?大丈夫、なに?あー、うん。うん。
一方的な会話を自然に思えるように続けながら、レジで精算をしてもらう。
オッケー、じゃーね。
会話を終えて携帯電話を鞄に仕舞い、精算時に出た釣銭を貰う。ありがとうと一言。それから。

「子供、ちゃんと注意してくんない。フツーにウザいんだけど。あーしのツレじゃねーの、知ってたっしょ? マジあり得ないから」

クレームをひとつ。ああ、嫌な時間だった。最悪の気分だ。早く家に帰って邪魔された続き読も。



03/30 15:00


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