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◎FGO×D/C


前回ネタ出したものを練り直したもの。
真名バレはあるかもしれない。
基本的にネタバレとか、何の予防策もしておりませんので、閲覧は自己責任でよろしくお願いします。

主人公の名前は藤丸立香を採用。
いつも通りです。

「初めまして、藤丸立香です。よろしくお願いします!」

新しいクラスの仲間として紹介されたのは、明るい髪色をした少女だった。
藤丸立香。父親の仕事の都合上、入学式に間に合わず、また彼女の体調の面もあり休学になっていたクラスメイトだ。
最近まで父と共にイギリスに住んでいたらしく、英語は得意だと言う。父の仕事が何なのかは彼女も上手く説明できず、よくわかってはいないようだが、海外を飛び回っており、家に不在の期間が多いらしい。
彼女には、彼女より一年はやく帰国していた兄がおり、その兄はスポーツ万能で頭が良い。彼女自身も運動が嫌いというわけではなさそうだ。また、大きな犬を二頭飼っている。
海外を飛び回る父親の娘、彼女にも日本以外の血が混じっているのだろう。赤毛に近い明るい髪色、色素の薄いゴールドの瞳。性格は明るく利発、人見知りもしない出来た少女である。
クラスメイトの質問責めに遭う彼女の元から聞こえてくる情報はそんなところだ。
他にも好みの食べ物やキャラクターなど、子供達の興味は尽きることがない。

しかし、己の思考はそんな彼女を置いて別のところにあった。先日齎されたばかりの新たな情報ばかりに気を取られる。
あまり詳しい内情はわかっていないが、と前置きされて教えられたのは、最近になって頭角を現してきた新興の民間警備会社だ。そこが保有する私設部隊に、恐ろしい程の実力者ばかりが所属しているのだそうだ。最新鋭の技術を用いた武装を施した彼らの、依頼成功率は驚異の百パーセント。百パーセントだ。
もちろん依頼は選んでいるのだろう。だが、百パーセントの数字はあまりにも驚異的なのである。明らかな不測の事態に遭遇して、彼らは恰も想定内とばかりの冷静さで確実に依頼をこなす。依頼の内容はもちろん警備、護衛から暗殺まで多種多様。そんな人を何とも思わぬ武装集団が、拠点であったイギリスを離れ、この日本へと来訪した。
日本の一部警察や、各国の構成員らは警戒を強め、少な過ぎる情報を少しでも入手、補強するため動き出しているという。

二限目の開始を知らせるチャイムが鳴り、教師が教室へと入ってくる。勿論、席を立っていた子供達はそれぞれの席へと戻され、言われるままに教科書を取り出して開く。
復学した赤毛の少女は、隣の席の子へ何かを尋ねていた。
はた、とイヤな偶然に気付く。この時期に親の都合で日本へやって来た彼女。今まで住んでいたのはイギリスだ。そして、最近来日した武装集団、その活動拠点もイギリスだった。
こちらに来て初めての授業、新品の教科書を手に、楽しげに発言する彼女を見る。
ぶるりと頭を振った。いや、いやいや。まさかな。そんなことあるはずがない。あまりにも簡単で分かり易過ぎる。武装集団への手掛かりが、直ぐそこにあっては堪らない。
探偵として見逃せない偶然の一致。だが、それはあくまでも非日常の中での話。彼女にそれらは似合わない。
江戸川コナンは再度頭を振り、その思考を排除した。






「あ、藤丸さん!こっちですよ、こっち!」

赤毛の少女を見付けたのは、自分達の中でも背の高い円谷光彦であった。彼の声を聞き、吉田歩美と小嶋元太も少女を見付けて大きく手を振る。それが目印になったのだろう、藤丸立香もまた手を振り返し、こちらへ走ってやって来た。

「待たせちゃった?ごめんね」

どうやら住む家は郊外で少しばかり遠く、また、ここまで来るのに道を何度か間違えてしまったようである。彼女の話を聞けば、迷うのも頷ける。
この東京に引っ越して来て数ヶ月、荷解きに体調不良もあり、休学していた身なのである。加えて、外を歩くにも見知らぬ土地に少女一人では、保護者も心配して外出を制限するのは当然のことだろう。故に、家の周辺しか知らないのだそうだ。
それならばと、街の案内役を買って出たのが元太、歩美、光彦の3人というわけだ。そして勿論、彼らが括る少年探偵団員である俺と灰原も連れ出される。
彼女には門限があるそうだが、主要な場所を回るだけなら十分に間に合う計画である。

「大丈夫、全然待ってないよ!」

実際は20分ほど経っている。何かに巻き込まれたのかと少しそわそわしてしまっていたが、無事であるなら問題はないだろう。
改めて藤丸を見る。学校で見た服装はそのままに、白いエナメル製のポシェットを肩からかけている。三日月に月桂樹だろうか、見知らぬロゴマークが控えめにプリントされていた。マイナーな会社か。しかし、ロゴマークの他には何もない。後で調べてみようかと、頭の隅に置いておく。

「それじゃ、出発! いこっ!」

歩美に手を引かれて藤丸が歩き出す。それに続き、俺たちも後を追った。

米花駅に始まり、駅前のバスターミナルに有名なホテル、百貨店に商店街、センタービル、シティビル、シティホール、今回は少し遠いからと諦めたが、遠目からも見えるレジャー施設の観覧車、勿論近くにある水族館等の話も出した。総合病院、市役所に警察署、公会堂に図書館、テレビ局。まさか近場にあるからとおっちゃんの事務所や博士の家まで行くとは思っていなかったが。
公園に戻って来るときには辺りは薄暗くなっていた。
子どもというのは、大人が思う以上に行動範囲が広いものだ。特に何かに用事があるわけでもなく、立ち止まることもあまりなかった為に、短時間で相当な距離を歩いただろう。
疲れた様子を見せる子どもらに対して、藤丸は満足げにいっぱい歩いたねえ、なんて笑顔を見せる。なにかの運動でもしているのだろう。
門限は大丈夫なのかと心配もしたが、どうやら俺も気付かないうちに家の人と連絡を取っていたようだった。近くまで迎えに来てくれるから大丈夫なのだという。

「でもやっぱり、そろそろ帰らなきゃね。みんなも時間は大丈夫?」
「おう、俺たちは大丈夫だぜ。っても、もう帰るけどな!」
「ええ、問題ないわ。皆ここから家まで近いのよ」
「そっか、それなら大丈夫だね。でも気を付けて、暗いのはやっぱり危ないもん」

それじゃあ、先に帰るね。またね。そう言って彼女は、来た時と同じように手を振って公園入り口へと走って行く。まだそんな元気があるのかよ、なんて思ったりもしてしまったが、もしやこれは精神的な疲労も加味されているのだろうか。まだ17歳だと思っているのだが。隣の灰原もどこか疲れた様子を見せている。

「また遊ぼうねー!」

歩美が藤丸の背に声を掛ける。それに気付き、入り口付近で彼女は大きく手を振った。


02/28 23:13


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