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◎蟲師


この山は特殊だ。
主が元が人であるということが影響しているのか、それとも元から特殊な環境であるのか。山は広大で標高も高く、光脈が山の中をそこかしこに流れている。自然豊かであるという事は、それだけそこに生きるものの数も多くなるのだ。さぞかし管理は大変な事だろうと思う。
布団に寝かされながら、かのひとの仕事を夢想していた。
この山は特殊である。
多くの山を登ってきた者でさえそう言うのだから、特殊でないわけがない。この山に足を踏み入れた人は必ず道に迷うのだ。誰一人、例外なく。そうしてふと気付けば山の森の中に切り開かれたある場所、小屋のある場所に立っているのだった。小屋の中は快適で、知らぬ間に食事や布団が用意されている。一晩そこでしっかりと休めば、次の日自ずと山の道がわかるのである。
全ての原因はこの山の主だ。姿を見ても大丈夫だと判断した者の前にのみ、かのひとは姿をあらわす。そうしてからりと笑って、出来立ての飯を勧めて来るのである。
それがこの山のお決まりであって、特殊だと言われる一端を担っている。



09/29 00:07


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