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童貞の意地


藤岡若葉(ふじおか・わかば)、17歳。

ぴっちぴちの男子高校生で、今朝死亡。

(ありえないんだけど、)

まだ青春を謳歌していないのに。

身長168cmと男子高校生にしては小柄だが、未来に向けての未知たる可能性を秘めた身長であって、決して低いわけではない。決して低いわけではない。重要なことだから二回言った。

男の価値は身長じゃない。

都内でも可愛い女の子が多いと噂の高校に進学し、早2年と3ヶ月ちょっと。彼女とうはうはの予定に反し、高3の夏休みに入った今でも俺は寂しい独り身で純潔を保っていた。

高校は確かに可愛い女子が多かった。だが、彼女らが口を揃えて言うには、『若葉くんは近所のポメラニアンに似ていて、可愛い弟にしたい系だから彼氏としては見れない』。

お前らの近所はどれだけポメラニアン飼ってんだよ。他の犬はいないのかよ。

因みに、中学の頃に告白を断られた理由もこれで、もう呪いか何かだと思っている。

だが、男の価値は雰囲気じゃない。

因みに彼女になってくれる子を探しすぎて、成績は悲惨だ。100満点の物理で3点を取り、未来に向けての未知たる可能性を秘めた点数なのに、中年男性の物理教師と放課後デートした。

まったく嬉しくない。

セクシーな女性教師なら妄想も膨らむのに、物理教師の頭はもうレジでピってできた。

で、その放課後デートについての男友達の感想が『たまにいるよな、あんなバカ犬。近所のポメラニアンなんか飼い主が服を着替えただけで認識できてなかった。若葉あんな感じ』。

再び驚異のポメラニアン率。

だが、男の価値は頭じゃない。

と言いたいが、男として何も自慢できない。チワワじゃないだけマシだ、と自分に言い聞かせたいが、正直ポメラニアンも変わらない。

絶望に浸っていたその時、嬉しい誘いが舞い込んできた。高校最後の夏休みの思い出を作るために8月末に砂浜に行こう、とクラスの女の子達に誘われたのだ。憎たらしいことに他の野郎も何人か誘われたが、それでも嬉しい。

で、俺は決意した。

むっきむきになってやる、と。

割れた腹筋を見たらビキニの女の子達はきっと俺に夢中になる。計画に抜かりはない。

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座右の銘:リア充爆発しろ。
現世への未練:イケメン滅ぼす。