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11.


もうすごい図である。

干し柿パックを高く掲げた俺、マスクを若干ズラして干し柿を食べる口裂け女、その口裂け女をナンパしながら干し柿を食べる壮絶美形。

唯一の幸いに通行人がいなかったが、いればいたで都市伝説が見えないタイプの人だったら、真木が俺をナンパしていると見えてしまう。それだけは絶対に嫌だ、死んでも嫌だ。

いや、死んでるんだけど。

というか、

(綺麗って言ったよ、真木!)

口裂け女に言っちゃダメな言葉、第1位。

(で、出た、出ちゃったよ…!)

俺の心境とは裏腹に、真木は干し柿を齧る。たまに見える白くて鋭い犬歯とか、真っ赤な舌とか、たかが干し柿のくせに食べ方エロい。

それを見ていたら心配がドキドキのワクワクに変わっていった。世の女の子の敵である男は女の子に裂かれてしまえばいい、と綺麗と言ったのが自分じゃないから俺は楽しく観戦だ。

だが、顔面偏差値という言葉がある。

それで言うと真木は間違いなく3桁に突入する勢いで、…まさかの差別が誕生した。

『まぁ、嬉しいわぁ』

「いや、そこは殺(や)れよ!!」

『引っ込んでな、ポメ』

「…………もうやだ」

俺の時と態度が違う。

都市伝説として疑問に思うほど違う。

ペットを見るような目ではなく、アイドルを見るような熱い眼差しで真木を見詰める口裂け女。因みにまだ干し柿を食べている。

「お姉さん、綺麗な顔を見せてくれないの?」

『あ、あら、積極的ね、最近の子は』

「見せてザックリ殺っちゃいなよ!そういう噂だったじゃん!顔面偏差値が理由の特別扱いなんてフェアじゃない!…てか、真木、お前がは女の子の前だけキャラ変えるな馬鹿!!」

『お座り、ポメ』

「…………ぐすん」

世の中って不公平だ。

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座右の銘:リア充爆発しろ。
現世への未練:イケメン滅ぼす。