三つ目。壁に浮かび上がる人形のシミ。
真っ白な壁に黒っぽい人形のシミを浮かび上がらせたが、真木は少し眉を寄せた後にセクシーなグラビア系ポスターを貼りやがった。
それからというもの、こっちを見てはニヤッとする。俺が無理すぎて断念した。
そんな目で俺を見るな。鳥肌が立つ。
というか、しおりちゃんはどうした。
四つ目。渾身のポルターガイスト家鳴り。
結果、真木がバルシャンを買ってきた。そして、迷いもなく焚いた。俺はゴキブリと同じ扱いなのか。いや、むしろ、こいつの頭の中でゴキブリは一体どれだけの騒音を出すんだ。
噎せすぎて下の階に避難したら、自宅警備員っぽいお兄様がセーラー服着て踊ってた。
いろんな意味で打撃を受けた。
五つ目。じっと見詰める。
無視されすぎて俺の心が折れそうだ。ホラー番組などである『誰もいないのに視線を感じる』を目指したが、実際は凄まじい無視の連続。
最後は俺が隅っこで体育座りをした。
「はぁ…。ずぶとい、ずぶといよ、あいつ」
お留守番の時に漏れた心の声。
真木は大学生で、ぶち殺したいほど順風満帆でリア充なあの野郎は毎日遅くまで遊んだり、飲んだりしてから帰ってくる。それまで俺は新しいビビらせ方を考えて留守番しているのだ。
「…寂しい」
きっと、今頃真木はしおりちゃんと…。
悔しすぎてむしろ生き返りそうだ。
そうやってムカムカしながら、真っ暗な家の中で真木を待っていた。因みに人間も幽霊も見えるようになったからか、暗闇は全く怖くない。
この付近に幽霊仲間がいないかどうか探したが、皆無事に成仏したようで、見付けたのは人間の魂じゃない何かだけだった。今は暇潰しにキッチンでアサリの幽霊達をつついて遊んでいる。
多分、真木が買ってきた唯一の生き物。
…食用だったけれど。
なんとなく意思疎通ができて、いや、アサリと交流できるってどんなだよ。とにかく『可愛い女の子に味噌汁にされたの』とか言ってる。
「もしかして、しおりちゃん?」
コクッ、と全身で頷いたアサリ達。
再び湧き上がる殺意。
「真木、絶対にちびらせてやる…!!」
その時、ガチャッ、と玄関の開く音がした。
パッ、と振り返る様子にアサリ達が『飼い犬みたいな反応』とか言ってたが、聞いていないことにした。お前らは早く成仏しろ。
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座右の銘:リア充爆発しろ。
現世への未練:イケメン滅ぼす。