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16.

「よりによって…!!」

ドラゴンが忌々しげに唸る。

彼が本当に他の聖獣達を妨害していたなら、アルテミスは相当厄介な相手だ。だって、ドラゴンは雷の王で聖獣の中で最強だとしても、光と闇の聖獣達には手出しできないのだから。

もし、私がアルテミスと契約をするなら、ドラゴンにそれを阻止できる力はない。

だから、試してみることにした。

「彼女が召喚に応じ、私が契約を申し込んだ」

一気に彼が硬直した。

「で、け、結果は?」

「承諾してもらったよ。私が城に返ったら契約する。臣下達が嬉しがるだろう。だから、今すぐにでも私を城に返してほしい」

彼は、どんな顔をするのだろう。

なんでもなさそうなふりをしながら、彼を盗み見る。一秒、また一秒と時間が経っていって、最初は状況を呑め込めていなかった彼がくしゃりと顔を歪ませ、見開かれた瞳が潤んでいく。

そして、

『ひっく、…ぅ、あぁ…っ、』

消えた。

いや、正確には私の視界から消えた。

聖獣の小さい方の姿に戻った彼は猫ほどの大きさになり、その場に突っ伏した。

私は慌ててベッドから立ち上がり、ドアのところまで駆け寄る。この小さな黄金色の塊が蝶番を吹き飛ばし、爆破しそうな勢いでドアを開けた人物だとは到底思えなかった。

「どうしたんだ、いきなり」

『ぅ、あ、だって、…だって、カルナダが、カルナダがぁあ…、んっく、ぅ、う…』

「泣かなくてもいいだろう」

『僕のカルナダが、…く、んっ、ずっと片想いしてたのは僕なのに…!えっぐ、ぅ、アルテミスに、…ぅぁああああああ…!!』

ドラゴンが泣く。

それはもう思いっきり泣く。

黄金色の瞳からぼろぼろ涙をこぼし、鱗が濡れるのも気にしない。捨てられた犬ように耳をペタリと伏せ、尻尾も垂れる。嗚咽もそのままに駄々をこねるように手足をバタつかせた。

(なんというか…、私が虐めたみたいだ)

だが、その姿に毒気を抜かれた。

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孤独が怖い、と君が怯えるのなら、
私は君と最期まで寄り添うと誓おう。