カジノの規模はかなり大きいし、軽く視線を流しただけでもルーレットやサイコロも確認できるからギャンブルの種類は豊富なんだろう。
「カジノは初めてですか?」
「あぁ」
もちろん、設定だ。
既にだいたいのことは確認してある。だが、実はを言ってしまうと慧はギャンブルを一通り遊んだことがあっても、所謂イカサマという裏で使われる手口については何も知らなかった。
これにはかなり驚かされた。ハニートラップでカジノに行くことはないだろうが、それにしてもいいとこ育ちのお坊ちゃんだ。
という訳で、数日前に慌てて戦術とイカサマを教えたものの、付け焼き刃で不安は残る。
だが、やってもらうしかない。
「清宮様、何か気になるものはございますか?」
この状況で俺達が選んだゲームは、
「ブラックジャック!」
初めて遊ぶ子供のようにワクワクしながら無邪気な瞳を輝かせているのはとても微笑ましいが、できることならそんな前から決めていましたという感じで言い放つのはやめてほしい。
あくまでも遊んだことがない設定なんだから。
播磨に見えないように小突いてやれば言いたいことに気付いたらしく、やらかした、と慧は僅かに表情を硬くした。誤魔化すようにはにかむ。
「名前が格好よくて…」
なんて誤魔化し方だ。
頼りになるなんて思ってしまったが、やはりまだまだ甘くて経験のないひよっこらしい。
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目には目を、歯には歯を。
罠には罠をもって制するのが最善だ。