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7.


あれから俺は暫くペアを組むことをやめた。

俺と組んでまた誰かが死ぬのにも耐えられなかったし、伊瀬以外の誰かと組む気にもなれなかった。幸いにも仲間には恵まれていたが。

そうやって依頼をこなしていくうちに、朝日というコードネームが有名になっていった。

そして、去年のTCCEで試験監督を引き受けて、人数の都合で尋斗と蓮と組んだ。久々に誰かと協力して戦って、慧に惚れてしまって、恋人になって今回久々にペアで仕事をした。

怖いんだ。

慧を失ったらと思うと。

この二年、俺も成長して実力を増した。だから、きっと何があっても慧を守れる。

伊瀬は俺を恨んでいるだろうか。

伊瀬の時は守ろうとせずに尻尾を巻いて逃げて、結果殺してしまったのに、恋人だけは守ろうとする俺はひどく利己的で、嫌な人間だ。

もし、時間を巻き戻せるなら、あの日、あの場所に行けたなら、迷わずに伊瀬を逃がして俺が追っ手を足止めしていただろう。

ずっと後悔し続けている出来事。

謝る相手すらも俺は失ってしまった。

昔から伊瀬の背中を追いかけていた。だが、追いかけても追いかけても、その差が縮まることはなかった。伊瀬は俺に全てを教えてくれた人で、家族同然で、唯一無二の仲間で…。

今、俺も一流と呼ばれるようになった。だが、伊瀬と並んだかと考えればその背中はまだまだ遠くて、手を伸ばしても届かない。

いや、俺には彼と並ぶ資格もない。

今の俺を伊瀬が見たら、どんな表情をするんだろうか。怒った顔か、恨めしげな顔か、それともあの穏やかで優しい微笑みに僅かに苦々しさを滲ませて心底困ったようにするだろうか。

分からない。

ただ、ひどく伊瀬に会いたかった。


お前に手を惹かれてこの世界に来た。

お前に助けられて、俺は今も生きている。

贖罪できるとは思ってもいないが、もし、この命を返す日が来たならそれでいい。俺のこの命でお前に何かできるなら本望だ。

だから、お前が使っていた鷲を勝手に使い、冒涜する加賀美は絶対に許さない。

(act.2 虎穴 終)
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目には目を、歯には歯を。
罠には罠をもって制するのが最善だ。