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23.※


顔色が悪くなっていく自覚があった。

ドライ。出さずにイくこと。絶頂を迎えれば通常その快楽は白濁と共に吐き出されるが、それを人為的にとめて体の中だけで達すること。

出さないから行き場を失った快楽が、じわじわと体の中で燻ってななぶってくる。

もしくは、

「空イキ」

とも呼ばれていて俺は体験したことないが、というかそもそも俺は慧しか銜えたことがないが、ドライについての知識はある。

行き過ぎた快楽は拷問のようだ、と。

「ッ、やめ!」

勿論、逃げようとした。

だが、根元を輪っかにした指で戒められて、腰を掴まれて、さらに慧が体重をかけてのしかかってくるものだからもがくばかりで逃げられない。むしろ慧のものが奥に食い込んでくる。

「…俺が逃がしてやると?」

慧の声は完全に楽しんでいた。

だが、俺にとっては全く楽しい状況じゃない。なのに、慧は俺の股の間から垂れているリモコンを掴むと、カチッ、とスイッチを切り替えた。途端に中の振動が激しくなっていく。

それに加えて慧が律動を再開して、奥を突き上げてくる。ガツ、ガツ、と体の中から乱暴に犯される音が俺にまで聞こえてくるようだ。

「あ、ぁあッ、やァん!!慧!!ッはぁ、」

「んッ、は、気持ちいい…」

「やめ、ッ、離せ!!」

「やだね」

強く体を揺さぶられる。

体重をかけた膝が痛いのに、快楽が麻薬のようにそれを打ち消していく。もう中を抉る硬い先端にしか意識がいかなくて、カタカタと震える体は俺の意思では止められない。飛びそうだ。

甘い吐息とは裏腹に目尻からは涙が伝い落ちて、それでも慧は許してくれなかった。

卑猥な水音と悲鳴じみた嬌声。中が火傷するように熱くて、思考回路も焼ききれたようで何も考えられなくなって、快楽に溺れていた。

だが、いくら激しくされても、怒りを顕にした仕置だと言われても、俺の首筋に慧がグリグリと甘えるように擦り寄って来るものだから、恨むに恨めなかった。苦笑いしか出ない。

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目には目を、歯には歯を。
罠には罠をもって制するのが最善だ。