体が熱い。
奥で炎が燻っているようだ。
だが、ピンと赤く熟れて尖った胸の突起も、上を向いてだらだらと先走りを垂らしているそれも刺激を得られなくて、体に溜まる焦らすような快楽を逃がせない。とても苦しい。
腰が揺れる自覚はあったが、そうしたところで現状は変わらない。ローターは前立腺から外れずに頭が真っ白になるのに、まだ中だけでイってしまえるほど体は教えこまれていない。
そうやって開放を得られずに快楽だけ溜まり続けた結果、理性が揺らぎはじめるのを感じた。
これでシャワーが冷水だったら、頭はまだ冷静さを保てていただろう。だが、中途半端に温かいからこそさらに苦しくなるだけだ。
湯が絶えずに肌を打っていた。
(イ、きたい…!)
理性さえ溶ける強烈な快感。
だが、どれだけ強くても中だけの快感、ましてや無機質なそれでは達せない。
ヴヴヴヴ、と低く唸る音はシャワーの音に消されずに鮮明に耳まで届いていた。もう体に力が入らない。正確な時間は分からないが、とても長く時間が流れていったように感じた。
慧はいつ戻ってくるんだろうか。
だが、お仕置きという言葉を思い出しては、また体から温度が抜けていく気がした。
その時、カチャ、と脱衣場のドアが開かれる音がした。まさかと思って脱衣場に繋がるドアを見れば、曇ガラスに人影が映った。
そして、ゆっくりとドアが開いた。
「…気分はどうだ?」
「…慧っ、」
慧が目を細めた。
そこに滲む感情までは分からなかった。誰かへの嫉妬なのか、俺の姿を見て少しは怒りが収まったのか、それともまだ怒っているのか。
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目には目を、歯には歯を。
罠には罠をもって制するのが最善だ。