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10.※


「もう我慢できねぇ、」

慧と距離が開き始めてから長らく触ってもらえなかった後孔は思っていたよりも硬くて、加賀美の指を締め付けて侵入を拒む。

だが、それで止まる男じゃなくて、むしろ締め付けを楽しみながら根元まで埋めてきた。

「奥…っぅ、ふか、ぁ…!」

「これで深いのかよ」

カリ、と内壁を引っかかれた。

本当に深い。加賀美の指が長いっていうのもあるが、慧と肌を重ねていない間隔が開きすぎて快楽への耐性が弱まってきている。

長い指は俺の中を軽く引っかいたり、奥へ奥へと進んだり、腹側を探したりする。その度にピクピクと体が跳ねて、意思に反して俺の息は徐々に、だが、確実に乱されていく。

「は、ぁ…、く…!」

「気持ちいいか?」

「ん、気持ち…い、い、」

前触れもなく指が増やされた。

中に咥えさせられている二本の指が中を蹂躙していく。粘膜を何度も擦って、開いて広げていく。俺を犯す準備をしていくんだ。

ふと時計を見た。10時半をすぎたところだ。加賀美が満足するのにどれだけの時間がかかるだろう。そこから部屋に戻って、後処理をして…。高められていく体とは別に、頭の奥で冷静さを保っている俺はそんなことを考えた。

考えるほど余裕だった。

(…いや、違うな)

考えることで余裕を保ちたかった。

この現実から目を逸らしたかった。

だが、それすら許さずに脳を揺るがすような、思考を無理矢理引き戻してくるような強烈な快楽が与えられた。頭が真っ白になって、無防備に喉を晒して浅い呼吸を繰り返した。

「っあ、あぁああああ!!」

腹側のしこりを指先が強く潰した。

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目には目を、歯には歯を。
罠には罠をもって制するのが最善だ。