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7.


「あんた、名前は?」

「…朝倉、でございますが、」

「そうじゃなくて、下の名前だよ」

加賀美の手が脇腹に触る。ざわり、と粟立った肌はとっくにバレているだろう。

ターゲットを誘うには俺自身欲情しなくてはならなくて、だから単純な刺激で高ぶる体はとても効率的で合理的で、…だが、情報のために軽々と体を差し出す俺に心底嫌気が差した。

その考えに俺自身混乱した。

「…皓ですよ。…こう」

きっと、嘘を吐くべきだったんだろう。

偽名でも使った方が情報屋としては正しかった。だが、俺はこの低く掠れた艶やかな声に強請られるままに、ブラウンの瞳に吸い込まれるように気付けば本名を告げてしまっていた。

本当のことを話そう。この男、加賀美高虎に名前を呼んでほしい、と無意識に思った。

「そうか。…皓、…皓、」

そして、噛み締めるように何度も俺を呼ぶその声に既視感を覚えたのも確かだった。

今日、初めて会った人なのに。

俺の頭が混乱している間に加賀美のものはさらに興奮してきて、グリグリと強く内腿に擦りつけられる。誘うようにして笑って見せて、俺はそれに合わせて軽く腰を揺らした。

加賀美が耐えるように眉を寄せる。それを笑ってからかって、内腿で加賀美と遊んだ。

そして、ふと見えたんだ。

加賀美のシャツの向こうの素肌に、シルバーのネックレスが下げられてあった。

上等な質の銀は鷲の形になっていて、力強く翼を広げ、鋭い爪を突き立てようとしているそれはまさに俺が求めている核心だった。

(こんなところにも、)

ただの鷲好きだとは思えない。

俺が伊瀬のマークを見間違えるはずがない。

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目には目を、歯には歯を。
罠には罠をもって制するのが最善だ。