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12.


抱くと言ったら後は俺のペースだ。

「でもね、加賀美様、」

「高虎でいいぜ?」

「…高虎、私はね、知らない人に軽々しく体を差し出すような人じゃないんですよ」

だなんて白々しく言ってみた。

だが、拒絶を匂わすような言葉とは裏腹に彼の手首を掴み、自分から肌を押し付ける。彼の温度を求める猫のようにうっとりと。

「だから、あなたのことを教えてください」

「っ、…俺のこと?」

「高虎だって私のことを知らない。そんな状態で肌を重ねるなんて、…寂しいのです」

ここで初めて甘えるように。

ちゅ、ちゅ、と彼の手首に軽いバードキスを落としながら、時折長く唇を滑らせる。

俺から決して外されない瞳は熱を持っていて、獲物を見る目だ。…それ以前に、この男は間違いなく俺の獲物だったが。

「こうしましょう」

一気に加賀美の手を離す。首筋から彼の手が離れた途端、捕まえようと手が伸びてくれば勝利はもう俺のものだった。

その手をすり抜けて、ネクタイに手をかける。今度こそ大きく緩めて、だが、完全には外さずに視線だけで加賀美を誘う。

さらに大きく肌が露になった。

「私が質問をしてあなたが答えるごとに私が一枚脱ぐ、逆にあなたが質問をして私が答えるごとにあなたが脱ぐ、…どうです?」

「へぇ、楽しそうな余興だな。その間はお前の体に触ってもいいのか?」

「えぇ、ご自由に」

(さぁ、情報を寄越せ)

俺はあまり色仕掛けを使わないが、使えないわけじゃない。だが、慧はいつもこんなことをしているのかと思うと、すっと心が冷えた。

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目には目を、歯には歯を。
罠には罠をもって制するのが最善だ。