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11.


「この私にできることならば、どうぞなんでも遠慮なくおっしゃってください」

品定めする視線。

それがちらっと鎖骨を見たのを感じた。

そして、加賀美の視線が再度俺を見た時には、紛れもなく楽しそうな熱があった。

「なんでも?」

「えぇ、なんでも」

加賀美が身を乗り出す。煙草を持っていない方の手で俺の頬を撫でた。慧とは全く違う手だ。感覚も温度も何もかも違う。

つい無意識に慧と比べたが、加賀美の手が徐々に下がっていって快楽を引き出すようにゆっくりと首筋を撫でる。驚いたように目を丸めて彼を見れば、そこには捕食者の笑みがあった。

冷気さえ纏った支配者の笑み。

「体を、と言ってもか?」

さらに大きく目を見開いて見せた。

だが、少し悩んだ素振りを見せた後に自ら彼の手に擦り寄れば、満更でもなさそうに加賀美の手が俺の襟元の中に入っていく。

「とんでもないお方ですね」

「なんでも、と言ったのはあんただろ?」

口調も崩れてきている。

それだけ余裕がなくなってきたんだろう。

「はい。そうですね。…いいですよ、私を気持ちよくさせる自信があるのなら」

シャツの下の素肌を撫でる手を咎めるように手首に軽く歯を立ててから、クスッと笑ってやった。まるで血統書付きの猫を気取るようなそれに、征服欲でも掻き立てられればいい。

上目遣い、と言っても甘いものでなく挑発的に睨み据える目で加賀美を見て、返事をしない臆病者を見る目でさらに煽る。

そうすれば、

「上等だ」

ほら、かかった。

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目には目を、歯には歯を。
罠には罠をもって制するのが最善だ。