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8.


「169億2,800万だなんて見せかけだけで、実際はカジノで膨らませた金だろう?実質80億5,000万で買収の話なんて、クックッ」

「ですが、こうしないと加賀美様にそのカジノでの金を請求することになりますが?」

「おや、手厳しい」

ジュ、と加賀美は二本目の煙草に火を付けた。

慧が吸う、と言っても滅多に吸わないが、彼の煙草よりも重たくて濃い香りだった。一度その煙を浴びてしまえば取れなくなるような、絡みつくような嫌な香りだったんだ。

あぁ、気を引き締めないと顔を顰めそうだ。…慧の香りがとても恋しかった。

「朝倉様、この金額はさすがに…」

いや、慧のことを考えている場合じゃない。今は加賀美に集中しないといけない。

困った表情を見せ、俺はあらかじめ用意していた譲歩の台詞を口にした。

「…上限が100億です。これ以上は本当に出せません。ご了承ください、加賀美様」

口先だけの大金。

言うだけで実際に支払う予定はないのだから、いくらにだって膨らませられる。

だが、200億や300億と言ったところで、そんな大きすぎる金額を容易く出せるわけもないから疑われるのがオチだ。それは逆効果。

一番現実味があるのが100億。できれば加賀美にある程度渋らせてから頷かせたい。

「100億ですか…」

加賀美が悩む素振りを見せた。

実質100億5,000万。だが、チップとは言え、カジノで勝ったそれも支払いに含まれる。呑まないと逆に大金の支払いだ。

苦虫を噛み潰したような苦々しい表情で、加賀美は長く、長く白煙を吐いた。

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目には目を、歯には歯を。
罠には罠をもって制するのが最善だ。